イギリス エドワーディアン ダイヤモンド指輪(1894年、18金ゴールド)

イギリスの落ち着きある佇まいのリング シェルシュミディとしては珍しいイギリスのダイヤモンドリングです。
奇をてらったデザインではありませんが、正統派のシンメトリーの指輪デザインとハイクオリィティーなオールドマインカットダイヤモンド、コストパフォーマンスのバランスが良い指輪です。
オールドマインカットは通称クッションシェイプカットと呼ばれ、名前の通り「座布団(クッション)」のようなスクエアの形が特徴です。
ダイヤモンドのカッティングだけでなく、全体の形もちょっとクッションを思わせるような形をしているところがユニークです。
もちろんクッションをモチーフにしているのではなく、お花を様式化しています。
同年代のフランスに比べて控えめともいえるデザインが、瑞々しく艶やかなダイヤモンドの抑揚になっています。
ただキラキラ輝くだけでなく静けさが漂うような、落ち着きのあるリングですので大人の日常使いにぴったりです。
僅かにレモン色を帯びたオールドマインカットダイヤモンド よく見ますとダイヤモンドはかなり大粒です。
中心の最大の石が4ミリ強。
このダイヤモンドは僅かにレモンイエローを帯びています。
現代では「イエローカラーのダイヤモンド」と言いますとそれほど高価ではないイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、それは黄みの強いイエローで、このような爽快なレモンイエローとは別の話です。
まして昔の天然無加工のダイヤモンドで誰が見ても美しいと思う色のダイヤモンドは、それだけ珍しいですから評価は上がります。
ダイヤモンドの周囲だけ、べゼルの上辺だけがプラチナ、残りが18金イエローゴールドになっています。
べゼル下のゴールドは透かしになっていて、その透かしのデザインは同時代のフランスの指輪にもよく似ています。
イギリスはフランスのアンティークジュエリーよりは刻印の押されたものが多いですが、それでも9金以外のジュエリーでしっかり刻印の入ったものはそれでも多くはありません。
しかしこちらの指輪はすべてがしっかり入っていて、残っているのが嬉しいところです。
1894年のイギリス製。
年代的にはぎりぎりヴィクトリア王朝時代の末期に入りますが、この時代のジュエリーはその装飾様式から見てもエドワーディアン初期に入っているとみるのが、通例です。
指輪サイズは13号(有料でサイズ直し可)。

  • 幅:9mm 
    高さ:9mm 
    重量:2.4g
    商品の状態:良好
  • 販売価格:売り切れました。

イギリス エドワーディアン ダイヤモンド指輪(1894年、18金ゴールド)

  • メインダイヤモンドの4隅に4石のダイヤモンド、こちらもクッションシェイプ
  • 指輪延べゼル(フェイス)の大きさは直径9ミリほど、甘辛のバランスも良いです
  • 後ろを暗くしますとメインダイヤモンドの僅かな色を感じていただけるでしょう
  • メイン石から見て斜めの四隅は石のように見えるかもしれませんが彫金です
  • MWJはメーカーズマーク、1894年のバーミンガム18kゴールド
  • イギリス エドワーディアン ダイヤモンド指輪(1894年、18金ゴールド)
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アンティークエピソード

イギリスアンティークジュエリー エドワーディアン(エドワード王朝時代のジュエリー)

1901年にヴィクトリア女王が死去し1902年、エドワード7世は60歳のときに即位します。
アルバート・エドワードは、ヴィクトリア女王とアルバート公の長男。
ヴィクトリア女王の御世が長かったことから、エドワード7世はイギリス王室で最も長く王太子(プリンス・オブ・ウェールズ)の地位にありました。
優れた外交センスで英仏協商、英露協商を成功させ「ピースメーカー」とも呼ばれました。

エドワード王の在位は1901-1910年までですが、「エドワーディアンのジュエリー」とは、1890年頃から1920年頃までにイギリスで作られたジュエリーを指します。
隣国フランスのベルエポック時代とほぼ重なります。

なぜこのように「エドワーディアン」と「ヴィクトリアン」が部分的に重なっている期間があるかと言うと、ヴィクトリア王朝時代の末期に既にエドワーディアンのジュエリーの特徴が見られ始めるからです。

例えばエドワードの妻アレキサンドラは皇太子妃時代から、ドッグカラーと呼ばれるチョーカー(dog collar choker)を流行させています。
ドッグカラーとは、首にピッタリの短めのサイズが特徴のネックレスで、アレキサンドラ妃はほぼ常に、ドッグカラーを単品あるいはロングネックレスと合わせて着用していました。

アレキサンドラ妃

エドワーディアンのジュエリーを一言で言えば、「18世紀ジュエリーへの回顧」です。
この時代、まだアールヌーボーやアーツアンドクラフツの影響が残っていましたが、アーツアンドクラフツのように「クラフトマンシップ」に重きをおくのではなく、エドワーディアンのジュエリーは、宝石のセッティングに重きを置きました。

特にダイヤモンドのセッティングです。
この時代ちょうど19世紀後半からの新大陸でのダイヤモンド鉱山の発見を受け、ダイヤモンドカッティングの技術も大幅に向上していました。

エドワード王朝時代に流行したのはフィリグリーのリング、シングルダイヤモンドの結婚指輪(ホワイトゴールドを使ったものも含む)、彫りの入った紋章のリングや誕生石の指輪等です。
色使いの点でも大きな変化が見られます。
エナメルやミクロモザイク等に代表されるヴィクトリア時代のカラフルな色使いから、単色のジュエリーが好まれました。

下記は当店で販売済みのイギリスエドワーディアンのダイヤモンドリング。
宝石はダイヤモンドだけ。
単色使いの端正さが際立つリングです。

エドワーディアンプラチナダイヤモンドリング(0.6-0.7カラット、プラチナ細工)

デザイン、装飾様式としてはエドワーディアンのジュエリーは言うまでもなく、18世紀のロココ様式に影響を受けています。
ジュエリーモチーフとして再び、リボンやタッセルが好まれ、隣国フランスと同様に「ガーランド」と呼ばれる独特の花綱様式が流行します。
その先駆者であったのがカルティエ社。
そしてファベルジェはこの時代にエナメルを施した、そして裏面を幾何学的なギロッシュで覆ったジュエリーで一躍有名になります。

花綱模様(ガーランド)様式のネックレスでこの時代によく作られたのが、トルマリン、真珠、ルビーなどを配したペンダントトップに短めのチェーンをつけたスタイルのものです。
下記は当店で販売済みのアメジストのペンダントネックレスです。
「ガーランドx色石x短めのチェーン」とエドワーディアンの典型的なペンダントネックレスです。

エドワーディアン アンティークペンダントネックレス(ガーネット 天然真珠)

ゴールドのカラットとしては、エドワーディアンの初期の頃1900年頃まではまだ9ctゴールドも見られますが(9ctゴールドの使用はイギリスで特に1880-1900年頃に見られます)、特に20世紀に入ってからは18ctゴールドで作られたジュエリーが多くなってきます。
15ctゴールドもまだ僅かながら見られる時代です。
「白い金属」としては、19世紀からホワイトゴールドの使用が見られますが、1900年以降はプラチナが部分的にではありますが好んで用いられるようになります。

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