水色ってどんな色なのでしょう?
1920年頃のフランス製。
アクアマリンは英語で「Aqua Marine」フランス語で「aigue marine」。
その名前からも西欧でも古くから「水」を連想させる宝石であったことが分かります。
でもよくよく考えれば本当の「水」は、ほぼ無色ですよね。
澄み切った水に青い空が映った時、淡く水色に見えることから「水=水色」の概念が生まれたようです。
日本のみならずそれはヨーロッパでも同じだったようです。
前置きが長くなりましたが、久しぶりのアクアマリンのジュエリーの入荷です。
当店でも最もリクエストを多く頂く宝石の一つがこのアクアマリン。
そしてもっともそのリクエストに応えることができていないのも、アクアマリンです。
アンティークのアクアマリンは「現代のアクアマリン色」より淡い色をしています。
無色な水の中に僅かに空の色がにじみ出た、まさにそんな色合いで、美しいアンティークアクアマリンを見ると改めてその名前の深さを感じるのです。
(逆に言いますと現代のきつい色のアクアマリンは、水の色ではないと思うのです。)
アクアマリンの大きさは縦が1.3センチ、横が5ミリ。
アンティークアクアマリンとして久しぶりに満足の行く大きさです。
天然のままで上質の石がまだ豊富にあった時代の美しい色のアクアマリン。
今では枯渇してしまっているブラジル産のアクアマリンの可能性が高いと思います。
爽やかな色にクールなアールデコのデザインがぴったりです
アクアマリンは縦長の楕円形。
爽やかな水色にスレンダーなシルエットが印象的です。
当時、席捲していたアールデコの特徴を受け、宝石以外は直線的なシルエットでできています。
地金は18金ホワイトゴールドで、クールな美しさ。
数の少ないアンティークアクアマリンで、フランス製のものは特に少ないです。
その中でもこの指輪のように地金がホワイトゴールドだけでできた指輪は初めて入荷します。
両脇には小さなダイヤモンドが埋め込まれているため、縦長な指輪でもとても着けやすいです。
指輪サイズは11.5号(有料でサイズ直し可)。
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3月の誕生石アクアマリン。
アクアマリンがエメラルドと同じベリルという鉱物であることはあまり知られていません。
ベリルの中で、クロム着色の緑色はエメラルド(クロム着色以外の緑色はグリーンベリル)、海水青色はアクアマリン、黄色〜緑色はヘリオドール、無色はゴシェナイトと分類されます。
「海水青色」と表現される、わずかに緑味を帯びた淡青色がアクアマリン本来の色で、その魅力です。
緑柱石のうち透明でスカイブルーの色調のものを、アクアマリンと呼んでいます。
下記は当店で販売済みのアクアマリンとルビーの指輪。
販売して何年も経ているのですが、いまだにお問い合わせをよく頂く、青と赤の対称色の使い方が美しい指輪です。
名前はラテン語から来ています。
アクアマリンは、アンティークジュエリーにおいても非常に価値の高い宝石の一つです。
その愛らしい透明感、耐久性からアクアマリンは古代から愛されてきました。
またアクアマリンを使用したジュエリーはアンティークジュエリーにおいても非常に数が少なく、それゆえにいつも探されています。
そんなアクアマリンは、ブラジル、ナイジェリア、ザンビア、マダガスカル、アフガニスタン、パキスタンが主な産地になります。
特にブラジルのサンタマリアデイタビラ鉱山で発掘されたものは、深いマリンブルーの色彩を持ち「サンタマリアアクアマリン」と呼ばれることがあります。
(現在ではこの地方の鉱山は閉山してしまっています)。
現代のアクアマリンに見慣れてしまっていると、アンティークのアクアマリンは淡い色が多いように感じるかもしれません。
アンティークアクアマリンは概して、現代のアクアマリンに比べてその名の通りより本来の水色に近い、淡い透き通った色をしています。
下記も当店で販売済みのアールデコ期のアクアマリンリング。
アクアマリンの水色の色相が淡いです。
現在のアクアマリンは緑色から黄褐色の緑柱石を熱処理したものがほとんどで
、アンティークジュエリーで使われているアクアマリンと大きくクオリティーが異なるるからです。
現代では本来淡いグリーン帯びたアクアマリンの色を、摂氏425度で加熱すると言うことが日常的に行われています。
しかし実際の天然無加工のアクアマリンは青みがかった淡いグリーンから、ダークブルーまでの美しい青色の色彩を持ちます。
天然無処理のアクアマリンならではの優しい色合いが楽しめるのも、アンティークアクアマリンならではの醍醐味です。
アンティークジュエリーでアクアマリンの使われたジュエリーは19世紀末から、アールデコ期に向かった作られた作品が多いです。
イギリスですとエドワーディアンの頃、フランスですとベルエポック時代からアールデコ期にかけて好まれて作られました。
下記は当店で販売済みのアールデコ期のアクアマリンのピアス。
清涼感あるアクアマリンは、アールデコのジュエリーには特にぴったりの宝石です。
アクアマリンをメイン石に据えたジュエリーが作られた期間が短いということも、アンティークアクアマリンジュエリーの数が圧倒的に少ない要因の一つでしょう。
余談になりますがアンティークジュエリーで現代のいわゆる「アクアマリン色」を探していて見つけるのがブルートパーズになります。
トパーズというと、黄色の宝石のイメージが強いと思いますが、実際は豊富なカラーバリエーションを持っています。
特にブルーは現在、最も人気のあるトパーズのカラーバラエティになりました。
このブルートパーズという石、かつては天然の淡青色のトパーズが産出されていたにもかかわらず、以前はアクアマリンの代用品のようにしか考えられていませんでした。
しかし近年、放射線照射による濃色のブルーが登場すると(現在では天然のブルートパーズは産出されません)、たちまち人気の石となったそうですから、何とも皮肉です。
それだけにアンティークジュエリーではアクアマリンの代用品にすぎなかったアンティークの無加工のブルートパーズは、現在では高い価値を持っているといえます。
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