天然の希少なハーフパール(半円真珠)
ダイヤモンドを4粒の天然真珠で囲んだ四葉をモチーフにしたリング。
真珠はもちろん当時の天然真珠ですが、綺麗なハーフカットにされているのが分かります。
ハーフパールとは丸い真珠を2つにカットして使われた真珠のことです。
エピソード欄にも詳しく記載いたしましたが、美しいハーフパールはアンティークジュエリーならではの醍醐味です。
ダイヤモンドはローズカットにされていて、直径が4ミリ程。
真珠もダイヤモンドもほぼ同じ大きさで、四方に直線的に伸びた端正なデザインの指輪です。
19世紀のダイヤモンドなので内包物はありますが(4番目のお写真をご覧ください)、しっかりとした輝きがあり、ローズカットは薄いものも多いですが厚みも意外なほどあります。
丸い宝石と四つ葉のセッティングの妙
優しい色合いの中にも凛とした輪郭があります。
つぶらかで丸みを帯びた真珠とダイヤモンドは、それとは対照的に端正な四つ葉のラインでセッティングされています。
優しい色合いと端正なラインのバランスが良いです。
また当時はダイヤモンドも真珠の台座はホワイトゴールドを使うことが多く、この指輪のようにすべてがローズゴールドでセッティングされているのは珍しいです。
お花がモチーフになったアンティーク指輪は少なくありませんが、キラリと他と異なる魅力が素敵です。
19世紀後期のフランス製。
指輪サイズは14号(有料でサイズ直し可。)
小さな写真をクリックすると大きな写真が切り替わります。
ハーフパールとは、真円真珠を半分にカットしたもの。
真珠の種類ではなく技法のひとつです。
基本的にはアンティークジュエリーでしか見つけることができない宝飾技術です。
養殖真珠が作られ始める前、真珠は現在では考えられないほど稀少な存在でした。
天然真珠があまりにも高価なものだったため、真珠を2つにカットしてジュエリーに用いられました、それがハーフパール(ハーフ真珠)です。
ブローチ等の場合、真円真珠は穴をあけて接着剤を付けて針に刺してセットしますが半円真珠の場合はそれが出来ないため、小さな爪で留めてセッティングを行います。
真珠をカットするだけでも大変な技ですが、それを留めるには更に高度な技術を要します。
最近では「アンティーク風」のものが流行しており、稀に「ハーフ真珠」と唄っている商品を見ることがありますが、アンティークジュエリーで見つかる天然真珠のハーフパールとは別ものです。
質の良いハーフ真珠がアンティークジュエリーでしか存在しないその理由は主に3つ挙げられます。
1)天然真珠を真二つにカットするということは(もちろん手作業でやります)、とても高度な技術を要します。
真珠は硬度はそれほど高い宝石ではありませんし、自然の産物である天然真珠はそもそも完全な真円ではないですからなおさら難しいです。
2)何十年、何百年と持つようなハーフパールをセットするのが、至難の業だからです。
円形の真珠であれば穴を開けて針を刺すということができます。
これも非常に難しい技術ですがハーフパールの場合はそれができないため、すべて爪で留める必要があります。
天然真珠は小ぶりのものが多いですから、その一粒ずつを全て小さなゴールドの爪でセッティングする必要があるのです。
3)アンティークジュエリーの良質なハーフカット真珠は100年経ても退色しません。
現代の養殖真珠ですと、真珠の大方は人工的な核ですから、当然半分などにしてしまえばほどなくして退色が始まってしまうでしょう。
本物のハーフ真珠は、良質な天然真珠と、当時の高度な宝飾技術の両方があってようやく出来るものなのです。
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