心を開く、オープンハートのアンティークロケットペンダント
フランス、ベルエポック時代のハート型ロケットペンダント。
センチメンタルジュエリーの一つである、ハートモチーフのジュエリーはそれだけでどうしても人気が出てしまいなかなか入手が出来ないアイテムです。
今回は長年懇意にしているディーラーさんに、良心的に譲ってもらうことが出来て幸運でした。
フランス語でもハート(coeur)は、心という意味を持ちます。
ベルエポック時代のハートのペンダントには中が空かない(ロケットではない)ものも多いですが、やはりロケットになっていると、まさに心が開くようで(オープンハート)嬉しさも増しますね。
中心に小さなダイヤモンド
洗練された金細工と優美なデザインは、さすがこの時代のフランスといったレベルの高さです。
モチーフは花綱(ガーランド)と草、そしてダイヤモンドのセッティングは何と星の形になっています。
花綱(ガーランド)はまさにベルエポックを代表するモチーフの一つで、ハートのみならずゴールドで曲線豊かに描かれた金細工が魅力的です。
重量が2.5グラムと軽量で小さなロケットです。
ロケットもゆるみがなくきちんとしまりいい状態です。
アンティークロケットペンダントは常に探していますが、良い物は数が少なく、それだけにこのようなデザイン&作りとも優れたペンダントは希少です。
18カラットゴールド。
注:チェーンはついていません。
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アンティークジュエリーの中には、個人的な愛情や思い出を表現したセンチメンタルジュエリーと呼ばれるジュエリーが存在します。
センチメンタルジュエリーは大きく分けて「宗教的な信仰を誓うもの」「故人を偲んだモーニングジュエリー(mourning jewelry)」「愛する人との永遠の愛を誓うジュエリー」に分けられます。
ここではラヴジュエリーについて書きますが、モーニングジュエリーについては下記をご参照ください。
センチメンタルジュエリー モーニングジュエリー(mourning jewelry)
センチメンタルジュエリーがヨーロッパで製作されはじめたのは1800年前後からです。
下記は18世紀末のハートモチーフの胸飾り。
後ろの構造から元々衣類に縫い付けられていたものと思われます。
ロケットやブレスレットのクラスプに、小さな肖像画を入れたセンチメンタルジュエリーもイギリスで1830年頃に流行します。
目だけ描かれた肖像画をジュエリーにするというのも1780年代から流行します。
ポイントは肖像画に描かれた人を特定するのが難しく、秘密にできるということです。
下記はヴィクトリアアルバート美術館所蔵の「lover's eye」のブローチ。
製作年度は1800-1820年。
(c)Victoria and Albert Museum, London
フランスでもセンチメンタルジュエリーは作られましたが、数は少ないです。
またイギリスのやや大げさなほど「約束」を前面に出したものではなく、ハートや花などのモチーフ(そのモチーフが持つメッセージ性)を上手に生かしたもの。
手で愛情を表現したものなども好まれました。
センチメンタルジュエリーは、文字が彫られたものもあります。
下記は当店で販売済みのシール(印章)。
「plus loin plus serre(離れれば離れるほど(心は)近くに)」というロマンティックな愛の言葉が彫られています。
またセンチメンタルジュエリーのラヴジュエリーのモチーフの一つとして人気が高かったのが、ハートです。
ハートの起源は古く、中世にまで遡ります。
キリストが「自らのハートを人々への愛の証として見せる」ということから始まります。
心臓は愛と感情が宿る大切な場所ということで、ハートモチーフのジュエリーは愛情や幸福を象徴しています。
下記は当店で販売済みのダブルハートのペンダント。
エナメルで描かれた花はパンジー(pensee)、花言葉は「私を想って」です。
下記はイギリス、ヴィクトリアアルバート美術館所蔵のハートモチーフのリガード(Regard)ペンダント。
ハートと南京錠で、「あなたが私のハート(心)の鍵を握っている」と言うメッセージを伝えています。
また使用されている宝石は左からルビー(ruby)、エメラルド(emerald)、ガーネット(garnet)、アメジスト(amethyst)、ルビー(ruby)、ダイヤモンド(diamond)でその頭文字をとって「Regard」のメッセージが込められています。
(c)Victoria and Albert Museum, London
下記もイギリス製のダブルハートのペンダントで、ヴィクトリアン後期の製作です。
ダブルハートと鍵がモチーフの何ともロマンチックなモチーフです。
ハート以外に、「手」も愛を表すモチーフです。
センチメンタルジュエリーと言えば「REGARD」を抜きに語ることはできません。
宝石を並べるとそこには「REGARD(敬愛)」のメッセージが浮かびます。
R(ルビー) E (エメラルド) G (ガーネット) A(アメジスト) R(ルビー)D(ダイヤモンド)。
このような宝石の頭文字を取って表現されたジュエリーとしては「REGARD」の他には「DEAREST」などがあります。
アンティークエピソード集のページでは、様々なアンティークに関するエピソードをご覧いただけます。
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