ユニークな形のフィリグリーチェーン
フィリグリーと呼ばれる繊細工で作られたアンティークチェーンです。
フィリグリーチェーンでよくみられるのは、「マーユ」と呼ばれる楕円モチーフですが、このチェーンはモチーフの形が面白いです。
先端が細くなった縦長の楕円のような独特の形は、私もこれまで数多くのアンティークチェーンを扱ってきましたが、初めて見ます。
モチーフの中には葉が描かれていますが、この部分の作りもよくあるフィリグリー細工と比べて手が欠けられています。
中心軸にねじりを付けた棒状のパーツが入っています。
メインモチーフとモチーフの間には、真円のパーツが組み込まれています。
内側にも惜しみなくフィリグリー細工が展開しています。
重厚感があり見映えのするチェーン
フィリグリーチェーンと一言で言いましても細さや太さは様々です。
このチェーンは、横幅もしっかりあり、モチーフが華やかで単品で見栄えがします。
長さは45センチ。
長さのわりにずっしりとした重みがあり、モチーフ一つずつに厚みがあります。
そのため比較的大きめのモチーフが裏返ることなく、装着時にきれいにシルエットを保てるところが魅力です。
1900年頃のフランス製。
18カラットゴールド。
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アンティークジュエリーの醍醐味の一つはその手の込んだ繊細な金細工です。
あまりに緻密な細工であるため、時として肉眼では見切れないほどです。
肉眼で見切れないほどの金細工を当時、どのようにして職人さんは製作していたのでしょう?
それは手の感覚だったと言います。
熟練した職人さんは最後は手の感覚で、金細工を仕上げていったのです。
フィリグリー細工とは、金や銀を糸のように細くして巻きあげ模様をつくる金細工の一技法です。
可鍛性(かたんせい)といって、衝撃や圧力で破壊されることなく変形できるゴールドの性質を利用した加工方法です。
繊細な金細工で、20世紀初頭以前のジュエリーに見ることができます。
プラチナがジュエリーの世界で実用化されていくにつれ、このような手のかかる金細工技法は徐々に消えていきます。
フィリグリー細工は作られた時代が長期に及ぶので年代の特定が難しいところですが、下記の「マーユ」と呼ばれ楕円形の編みにフィリグリー細工を施したネックレスやブレスレットの大半は、1880-1900年頃のフランスで作られました。
まるで糸のように自由自在に美しいラインを描いています。
このようなフィリグリー金細工のゴールドあるいはシルバーの「チェーン」はほとんどがフランス製になります。
同時代のイギリスではまず見られません。
下記はやはりフランス製の銀製のフィリグリーチェーンです。
一方、大陸ヨーロッパではフランスの他にも数は少ないですがドイツやオーストリアハンガリー帝国でもフィリグリー細工を用いたジュエリーは作られました。
しかしチェーンではなくブローチ等が多く、作品の雰囲気もフランスのフィリグリー細工とは異なります。
下記はロンドン、ヴィクトリアアルバート美術館所蔵のドイツ製のシルバーフィリグリーのブローチです(1872年製作)。
(c)Victoria and Albert Museum, London 2018
銀製のフィリグリー細工はこの他、ポルトガル、エジプト等でも見られます。
下記はやはりフィリグリー細工のブレスレットで、素晴らしいフィリグリー細工に加えて更に金線に芥子真珠がセットされています。
年月とともにこうした芥子真珠は欠けていくことが多いのですが、非常に状態が良く残った希少な例です。
下記はエナメルと共にフィリグリー細工が施された例です。
特にフィリグリーのアンティークチェーンは皆様から多くのご要望をいただきますが、需要においつけていないアイテムです。
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