エンジンターン技法xギロッシュエナメル
アンティークエナメルを代表するのが、このギロッシュ(ギロシェ)エナメル技法です。
「幻のエナメル」とも呼ばれるギロッシュエナメルは、金属の表面に同心円、放射状など繊細な模様を彫りこみ、そのうえに半透明のエナメル質をかけて作られます。
エナメルの透明感ある色合いと彫りの美しさの両方を楽しむことができるため、アンティークジュエリーでも大変人気があります。
ギロッシュエナメルの地模様でよく用いられたのが「エンジンターン」という技法です。
エンジンターン技法で、放射状の美しい模様が彫られています。
優しい水色が艶を帯びて、エナメルならではの独特の輝きを生み出しています。
挿し色に外側に「白色」が入っているところも実に良いです。
開いて嬉しいロケットペンダント
ペンダントはロケットになっています。
蝶番の状態もよく、今でもパしっかり閉めることができます。
表面だけでなく裏面にもエンジンターン。
表から見ても裏を見ても開けても美しい。
幾重にも楽しみの広がる、アンティークならではのエナメルジュエリーです。
地金は銀製。
19世紀後期の西ヨーロッパ製。
6番目のお写真の赤い丸で囲った箇所にフランスの銀の刻印の一つ、白鳥の刻印が押されていますが、これは主にフランスに輸入された銀製品に押されます。
この時代、スイスで作られたエナメルは多く、作風からそのあたりの西ヨーロッパ諸国の作品と考えられます。
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ギロッシュ(ギロシェ)エナメルとは
ガラス質は半透明なので、金属に地模様を彫ることで繊細で美しい模様を表現出来ます。
その特徴を存分に活かしたのが、ギロシェエナメルです。
「ギロッシュ(ギロシェ ギヨッシュ)エナメル guilloche」はアンティークジュエリーに使われたエナメル技法のひとつです。
ギロシェエナメルとは、通常のギロシェ(エンジンターンを使って金属にギロシェを施す)の上に、透明あるいは半透明のエナメルをかけて下地の線刻模様を浮き出す技法のことです。
彫金加工された金属の表面に透明から半透明の釉薬をかけます。
金属の表面に同心円、放射状など繊細な模様を彫りこみ、そのうえに半透明のエナメル質をかけるのです。
金属の彫刻の上にエナメルをかけると、彫刻の深い浅いによって、エナメルの色が濃淡が生まれ、色合いの深みにつながります。
ファベルジェのギロッシュエナメル
帝政ロシア時代の奇才ファベルジェ(1846-1920年)の得意とした技法として知られています。
下記は数年前にササビーズに出展されていた、ファベルジェのギロッシュエナメルのシガレットケース(推定1904-1908年)。
これだけの作品ですが銀製です。
エナメルの色合いの美しさと彫りの美しさの両方を楽しむことができる、アンティークジュエリーにおいても非常に愛され、探されているジュエリーです。
カルティエのギロッシュエナメル
カルティエも特に20世紀初頭、時計などを中心にこのギロッシュエナメルを好んで用いています。
下記は推定1920年頃、カルティエのカフスボタンです。
小さな面積の中に美しい、ギロッシュエナメルが施されています。
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