奇跡的に入手できた1920年代のアンティークカルティエ サイン入り
前回のロンドンの仕入れの最後に奇跡的に入手することが出来た作品です。
何とアールデコ期のカルティエのジュエリー。
エナメルのボタン3点セットです。
カフスボタンではなく、スタッドボタン(胸ボタン)のようです。
スタッドボタンは19世紀から20世紀初頭まで2つであったのが、アールデコのこの時代に3つになったとのことで、時代としても合致します。
ボタン裏の軸足の環に専用の金具を通してシャツの裏で固定するそうです。
もっとも現代でそのような本来の使い方をされる方は少ないと思いますので、軸足の環にチェーンなどを通してペンダントのようにして使うなどと言ったアレンジも考えられるでしょう。
かつてのカルティエのジュエリーは、この数十年世界中のオークションで高値を更新し続け、価格の高騰がすさまじいです。
価格が高騰しているのは主に1960年代までのカルティエのジュエリーですが、仮に高いお金を出しても手に入れることが出来るカルティエのジュエリーのほとんど全てが、戦後のものです。
このように「アンティーク」と呼べるほど20世紀初頭まで遡るアンティークカルティエは、まともな価格では入手不可能です。
あまりに珍しい作品でしたので、当店にてしばらく保管をしておこうかと思っていたのですが、珍しい逸品なだけに思い切って販売することにしました。
これからアンティーク・カルティエはますます世界中で探され、その価値は上がり続けるのは間違いありません。
Cartier parisの刻印(サイン) シリアルナンバーがボタン一つずつに入り オリジナルボックスも残ってます
アンティークカルティエの作品は、仮に刻印が入っていない場合にも「確かにカルティエの作品だと確認することが可能であれば」それなりに高い価値を持ちます。
しかし仮に確認が可能な場合でも、サインが入っているかいないかで価格には大きな違いがでます。
このスタッドボタンセットにはまず、ボタン一つずつにCartier Parisとシリアル番号が彫られています。
加えて3つのボタンがピッタリ収まるオリジナルボックスまで残った、カルティエファン垂涎の逸品です。
可憐な花模様がゴールドで型押しされた箱だけで芸術品のような美しさのボックスにも、サインが入っています。
ボタンはそれぞれ直径が1.2センチほどで、カルティエが得意としたギロッシェエナメルが美しい作品です。
描かれた花は青系色ですが、おそらくダーリアだと思います。
ブルーグレイのギロッシェエナメルに浮かび上がり、どこか日本の美につながる幻想的な美しさです。
外縁に向かって白エナメルをドットで入れている、その色彩も実に20世紀初頭らしい洗練された色彩センスです。
エナメルもどこも剥げがなくパーフェクトコンディションなのも素晴らしい。
地金は18ctゴールド。
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カルチェ(Cartier)は、1847年にフランソワ・カルティエによってオープンした老舗のフレンチジュエラーです。
カルティエの最秀作はベルエポック期のプラチナジュエリーと、アールデコ期の時計とハイジュエリーだと言われています。
カルティエのすごさ、それは常に時代の一歩先を読んでいたところです。
例えば1900年頃、フランスでアールヌーボーが一世を風靡していた頃、カルティエはガーランドスタイルを先取りします。
そして1910年頃、ガーランドスタイルがやはり人気を博すと今度はアールデコを先取りするのです。
(カルティエがアールデコ期に製作したジュエリーの地金のほとんどはプラチナ、そしてプラチナは他のメゾンや工房より10年プラチナを早く取り入れていることでも知られています)。
下記は1930年にカルティエNY製作の花かごのブローチ。
ダイヤモンド(バゲットカットとブリリアントカット)にロッククリスタルとムーンストーンと言う白と透明色の色の組み合わせもまたアールデコならではの色彩です。
やはりアールデコ期、1933年製作のカルティエ社の珊瑚とダイヤモンドのバングル。
効果的な紅色の珊瑚の使い方、幾何学的でダイナミックなアールデコのデザインはいずれもカルティエ社の十八番です。
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下記は当店扱いの「漆(うるし)」を用いた当時のカルティエの化粧コンパクトです。
黒漆(ブラックラッカー)はアールデコ期にこのように額縁のように重用されました。
ギロッシェエナメルも得意としました。
下記は当店扱いのカルティエのボタン、推定1920年頃。
下記は当店で販売済みのちょっと珍しいカルティエのブローチ及びクリップです。
当時の非売品で勤続10年、20年、30年、35年の記念に当時の従業員に与えられて物です。
同じディーラーさんが、同じ方から入手したそうです。
下記も量産品ではない珍しいジュエリーです。
カルティエのメダル(メダイユ)で、製作されたのは1968年。
カルティエは、世界の様々な国に展開をしていきます。
下記はカルティエUSAの製作のヴィンテージのブローチです。
カルティエはまた近年では文化技術促進の活動も積極的に行っています。
先日はモナコ公国王妃を描いた「グレース・オブ・モナコ」で撮影に協力をしました。
モナコ公国の同意のもと、ダイヤモンドの婚約指輪やモナコ王妃が実際に所有していた「カルティエ」の5つのジュエリーをアトリエで完璧に複製。
また、パリのリュ・ド・ラ・ペ13番にある「カルティエ」のブティックが映画で出てくる他、パス・ベガやティム・ロスなどの出演者もさまざまーンで「カルティエ」のアイテムを身に着けます。
グレース・ケリー役のニコール・キッドマンがこれらのジュエリーを身につけています。
アンティークエピソード集のページでは、様々なアンティークに関するエピソードをご覧いただけます。
アンティークリング、アンティークネックレス、アンティークピアス、アンティークブレスレット等、希少なヨーロッパのアンティークジュエリーを随時100点以上揃えています。
シェルシュミディで取り扱うアンティークジュエリーは、全てオーナーが直接フランス、イギリスを主としたヨーロッパで買い付けてきたものです。