滅多に見つけることがない、オーストリアハンガリーのセットジュエリー
「ネオルネサンス」と呼ばれるカラフルで色の詰まった独特の装飾様式を持つオーストリアハンガリーのジュエリー。
その多くはハプスブルク家が勢力を誇った19世紀中に作られたものです。
かつてはオーストリアハンガリーのジュエリーも、特にフランスのアンティーク市場で度々目にしましたが最近めっきり姿を消しました。
宝石を多用しながら地金は銀製(あるいはシルバーギルド)のオーストリアハンガリーのジュエリーは、かつてはマテリアル(使われている宝石)のわりに比較的リーズナブルに仕入れることができる類のジュエリーだったのですが。
その「ネオルネサンス」と呼ばれる他と一線を画する独特の装飾様式は今では一つのコレクターアイテムとして確立し、特にクオリティーの高いオーストリアハンガリーのジュエリーは、フランスやイギリスのアンティークジュエリー以上に数も少ないため、希少な存在になってしまいました。
今回、シェルシュミディでも5年ぶりぐらいに納得のできるオーストリアハンガリーのジュエリーを入荷しました。
しかもピアスとお揃いのセットジュエリー。
ピアスは
オーストリアハンガリー アンティークピアス(エナメル)
コレクターの方に絶対おすすめしたいジュエリーです。
カボションカットガーネット、天然パール、ドットエナメル
宝石はガーネットと天然パールです。
両方ともオーストリアハンガリージュエリーの定番の組み合わせです。
ガーネットは明度が高く、ピンク色が差す色彩のきれいな石が用いられています。
メインの石とその上部のガーネットがカボションカットになっています。
カボションカット&クローズドセッティングは光を通さないので明るく見えづらいのですが、それでもこれだけ明るい色ですから、もともと相当きれいな色のガーネットであることが分かります。
オーストリアハンガリーの魅力は宝石とエナメル。
エナメルは紺地に白いドットを打っています。
地金の銀の色と調和し、パッと見たところあまりエナメルの色が目立ちません。
オーストリアハンガリーのジュエリーはその多色の色使いゆえに、日本人には派手過ぎると感じられるジュエリーも多いのですが、このペンダントは色合いが落ち着いていて日本女性にも好まれる色使いだと思います。
チェーンと一体化していて、すべてがオリジナルです。
ネックレスの長さは49.5センチ。
19世紀のオーストリアハンガリー製。
地金は銀で、ペンダントの裏面は銀の上に金が上塗りされたヴェルメイユです(だいぶ薄くはなってきています)。
小さな写真をクリックすると大きな写真が切り替わります。
ヨーロッパのアンティーク市場で時々、出会うジュエリーの一つに、オーストリア・ハンガリー帝国のアンティークジュエリーがあります。
オーストリアハンガリー帝国のジュエリーは、他の西洋アンティークジュエリーには見られない特徴があり、多くの場合一目で認識することが出来ます。
その特徴は、特に色彩において見られます。
「ネオルネサンス」と呼ばれる、多くの色を用いたカラーパレットのような色調が特徴的です。
その多彩な作品は、エナメルあるいは多彩な宝石を贅沢に使うことで表現されました。
下記は当店で販売済みのオーストリアハンガリー帝国のぺンダントネックレス。
トルコ石と真珠が贅沢に使われているほか、黒と白のエナメルが入り、多彩な色調です。
ルネサンス様式を回顧した、ネオルネサンス様式のジュエリーは、オーストリアハンガリー帝国の代表的な作品です。
オーストリアハンガリー帝国のアンティークジュエリーは、数を見ていくことでその如実な特徴が掴みやすいです。
下記も前述のペンダントとほぼ同時代の、ペンダントです。
この作品では、緑ガラスの上にエメラルドを張っています。
鮮やかな緑色の色彩を出すための工夫で、ルネサンスらしい明るい色調への拘りからです。
この作品では、白エナメルに部分的にエンジ色のエナメルが入っており、西ヨーロッパのジュエリーにはない色彩です。
オーストリアハンガリー帝国のジュエリーは、宝石を惜しげなく用いたものが多いですが、地金は銀製(あるいはシルバーギルド)で、いかに高価な作品であっても金無垢を用いたものはほとんど見ません。
以前、一度ロングネックレスで、全てのパーツにスクエアの立派な大きさ&クオリティーのエメラルドがセットされた19世紀のオーストリアハンガリー帝国のネックレスを見ましたが、それほどハイクラスな作品でも銀の上に金を上塗り(シルバーギルド)です。
下記も既に販売済みですが、当店で過去に扱ったオーストリアハンガリー帝国のエメラルドのペンダントネックレスです。
信じられないほど大きなサイズの大作で、エメラルドが惜しげなく多用されていましたが、やはりそれでもシルバーギルドが用いられています。
装飾に関しては、裏面にいたるまでぎっしりと施すのが特徴ですが、その彫金技術は一般的に西ヨーロッパより粗めです。
ただ例外的に、下記のように同時代の西ヨーロッパでさえ見ないような、技術の高い作品も例外的に存在します。
サイズ感としては例えば同時代のフランスやその他の西ヨーロッパのジュエリーに比べて概して大きめです。
オーストリアハンガリー帝国を統治していたのは、かのハプスブルク家です。
ハプスブルク家は、現在のスイス領内に発祥したドイツ系の貴族の家系です。
古代のユリウス一門(カエサル家)の末裔を称し、中世の血縁制度を利用した政略結婚(ルイ16世の妃マリー・アントワネットもハプスブルク家の出身)により広大な領土を獲得、南ドイツを代表する大貴族に成長します。
中世から20世紀初頭まで中部ヨーロッパで強大な勢力を誇り、オーストリア大公国、スペイン王国、ナポリ王国、トスカーナ大公国、ボヘミア王国、ハンガリー王国、オーストリア帝国(後のオーストリア=ハンガリー帝国)などの大公・国王・皇帝を代々出しました。
後半は形骸化していたとはいえ、ほぼドイツ全域を統べる神聖ローマ帝国(ドイツ帝国)皇帝を中世以来つとめます。
1918年に帝国が解体するまで存続します。
以前はオーストリアハンガリー帝国の19世紀-1900年頃までのジュエリーを度々、ヨーロッパで目にすることがありました。
使われている宝石が豪華なわりには地金がゴールドでない分、割安感があったのですが、近年は見ることが少なくなりました。
時々見つけますとやはりコレクターがしっかりついて評価が定まっているようで、ずいぶんと以前に比べてお値段も高くなりました。
それでも良質なオーストリアハンガリー帝国のジュエリーは今後もますます高価になってくることは間違いなく、気に入った上質な作品に出会ったときは、迷わず手に入れられることをお薦めいたします。
元々数が少ない分、あっという間により希少になってしまいそうです。
下記は希少なペンダントネックレスとピアスのセットジュエリー。
オーストリアハンガリーのジュエリーでセットジュエリーは当店でもこれ以外に扱ったことがありません。
オーストリアハンガリー帝国のジュエリーはなぜかイギリスよりフランスの方がまだ見つけやすいです。
地理的な要因かもしれません。
アンティークエピソード集のページでは、様々なアンティークに関するエピソードをご覧いただけます。
アンティークリング、アンティークネックレス、アンティークピアス、アンティークブレスレット等、希少なヨーロッパのアンティークジュエリーを随時100点以上揃えています。
シェルシュミディで取り扱うアンティークジュエリーは、全てオーナーが直接フランス、イギリスを主としたヨーロッパで買い付けてきたものです。