希少なノルマンディーの小さめサイズのストマッカー
19世紀フランス、ノルマンディー地方のストマッカー。
ストマッカー自体、アンティークジュエリーの中でとても数が少ないものですが、これだけ小さなサイズのものはとりわけ希少です。
銀のオープンワークとクローズドセッティングされたガーネット。
金ではなく銀でこれだけレースのようなラインを描くのは難しく、銀であることでとてもいい感じの渋みが出ています。
素朴な地方ジュエリーでありながら、とてもたくさんのガーネットが贅沢に使われています。
2.4センチx3.5センチと言う小さなサイズが、お守りのようで愛らしいです。
色とりどりのガーネットがふんだんに使われています
大小様々な11粒のガーネットが使われています。
色もよく見ると微妙に色合いが異なり画一的でないのが、この時代らしいです。
ドロップになった一番大きなガーネットなどはややオレンジ帯びた明るい赤色で、トップの左側のほうにセットされた小さなガーネットはもうちょっとバイオレットに近い色です。
いずれもクローズドセッティングにされており自然光下ではもうちょっと落ち着いた色で、光を浴びることで写真のようなより明るい色調が出ます。
小さなサイズを活かしてキュッと首周りにリボンを通して短めに着けても素敵です。
注:チェーンは付いていません。
小さな写真をクリックすると大きな写真が切り替わります。
フランスは料理、言語、建築、文化等々、地方性の豊かな国。
ジュエリーは特に20世紀初頭以降は基本的にはパリを中心に発展したため、断然パリで作られたアンティークジュエリーが多いです。
しかしそれでも19世紀のジュエリーには、まだまだ地方性豊かなジュエリーを見つけることができます。
ノルマンディーはフランスの地方の中で、豊かなアンティークジュエリーを生み出してきた地域です。
ノルマンディーは、イギリス海峡に臨むフランス北西部の地方です。
ドーバー海峡をはさんでイギリスと対峙し、百年戦争(1337-1453年)以前はノルマンディー公が支配してきた歴史的背景から、古くから貿易や商業が栄え、フランスの中でも経済的に恵まれた地域でした。
恵まれた地理的・経済的条件から、古くから地元でジュエリーの需要が生まれ宝飾技術が発展します。
その証拠にノルマンディーの宝飾家のトップクラスの職人たちは、16世紀からパリの王家に呼ばれています。
彼らはそこでノルマンディーの指輪、ノルマンディー地域特有のピアス、サンエスプリ(鳥)、十字架といったノルマンディー地域の伝統的なジュエリーを取り入れながら、宮廷向けに新しいジュエリーを製作しました。
より強い「煌き」を取り入れるために彼らが取り入れた素材の一つが、「鉛分の多いガラス水晶石」です。
この多分に鉛を含んだガラス石は、この地域の名前を取って「アランソンのダイヤモンド」と呼ばれることがあります。
18世紀になり、この鉛石をより小さなダイヤモンドのようなカットする技術が生み出されます。
そしてノルマンディーのパリュールは尚一層のこと、パリの貴婦人たちの間で流行します。
ノルマンディーと言えばまたストマッカーと呼ばれるドレスの胃の部分に縫い付けて使ったジュエリーも、他地域でも作られましたがこの地方が起源になっています。
ストマッカーとは、ドレスの胃の部分に縫い付けて使ったジュエリーです。
17世紀にフランスで発祥して、17世紀から19世紀初期のヨーロッパで流行しました。
フランスのノルマンディー地方がその発祥の地ですが、後年南フランスやポルトガ、スペインなどでも作られるようになります。
当時、コルセットでウェストを締め付けたデコルテを着用していましたが、その胸元の逆三角形の部分を覆う目的がありました。
ストマッカーは2つの本体からできているものと、3つの本体からできているものがあります。
大きさももっと大型のものや2つのものですともうちょっと縦幅が短めであったり様々です。
アンティークエピソード集のページでは、様々なアンティークに関するエピソードをご覧いただけます。
アンティークリング、アンティークネックレス、アンティークピアス、アンティークブレスレット等、希少なヨーロッパのアンティークジュエリーを随時100点以上揃えています。
シェルシュミディで取り扱うアンティークジュエリーは、全てオーナーが直接フランス、イギリスを主としたヨーロッパで買い付けてきたものです。