珊瑚で出来た貴重なアンティーククロス
19世紀後期のフランス製。
何と珊瑚で十字架が作られています。
明るい血赤色の珊瑚は、フランスがかつて誇った地中海珊瑚です。
ニース沿岸部で採れたこのようなオレンジ〜赤色の珊瑚は、現在フランス現地でも枯渇していて、アンティーク地中海珊瑚は驚くほど高価なアイテムとなりつつあります。
艶やかな赤色のおかげで、アンティークの十字架ジュエリーにありがちな地味さがまったくなく、十字架ジュエリーなのにとても明るい雰囲気が魅力的です。
珊瑚をゴールドの針で通しています
地金は18金ゴールドで、珊瑚に穴を開けてゴールドの針を通してつなげています。
これは昔の真珠のジュエリーにもよく見られた作りで、柔らかい珊瑚に針を通すのですからとても難しい技術です。
ゴールドも明るい18金ゴールドで、発色の良い珊瑚の色とぴったりです。
珊瑚は一粒ずつとてもぷっくりしていて、lこれだけの数が使われているのですから、とても贅沢なジュエリーです。
注:チェーンは付いていません。
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パールとともに海の二大宝石と呼ばれるコーラル(珊瑚)。
珊瑚は、宝石の中でも珍しい有機物質の宝石です(大半の宝石は鉱物系)。
宝石として使われる珊瑚は、いわゆる「サンゴ礁」などと異なりずっと深海に生息する硬質のサンゴです。
ポリプ(サンゴ虫)の触手が8本に分かれていて(珊瑚礁は、触手の数が6本です。)、多くは太陽の光が届かない深く冷たい海の底でひっそりと生息しています。
数百ミクロン程度までの微小な浮遊物などを捕食して、ゆっくりと成長します。
わずか1cm成長するのに、50年近くかかる種類もあるのだとか。
磨くと美しい光沢を放ち、その赤い色が当時の女性の舞踏会用のドレスによく合い、女性の顔色を健康的に若々しく見せてくれると重用されました。
アンティークジュエリーで用いられる珊瑚としては、19世紀にイタリア、ナポリ湾で取れたもの。
フランス、ニースを中心とする地中海沿岸部でとれたものが有名です。
ヨーロッパではコーラルは彫刻されてカメオとして使われたり、自然の形のままでネックレスやブレスレット、リング、ピアスにされ愛されました。
下記は販売済みですが、当時セットで見つけた珊瑚のピアスとブローチです。
珊瑚は赤系色の珊瑚で、赤、オレンジ赤、ピンク、白色に大きく分けることができます。
ヨーロッパのコーラルの色もオレンジレッド、血赤色、ピンク色など様ざまです。
下記はくっきりとしたオレンジ色の珊瑚が鮮やかなピアスです。
ピンクがかったものやオレンジ色、濃いものから薄い色までと、実にさまざまな自然の色が存在する珊瑚ですが特に価値が高いといわれるのが、「ポーダンジュ(天使の肌) Peau d'ange (英語でangels skin) 」と呼ばれる色の珊瑚です。
ローズ(薔薇)の色を深くしたようなサーモンピンクで、特にアールヌーボー期に好まれます。
アンティーク珊瑚の大半はオレンジ色ー赤色の珊瑚ですので、「エンジェルスキン」のピンク色の珊瑚は少ないです。
下記はやはりアールヌーボーの頃のエンジェルスキンの珊瑚のネックレス。
粒も大きく色もくっきり、これだけ美しい珊瑚は当店としても初めてです。
また下記は2010年頃のフランスのジュエリーオークションに出品されていた、やはりエンジェルスキン珊瑚のネックレスです。
「peau d'ange」がフランス語でangel skinを意味します。
上記の当店扱いのネックレスとノットの部分の色合いまでが同じだったのでドキッとしました。
ピンク色は濃さがあるほど良いです。
下記はカルティエ製のヴィンテージの指輪ですが、珊瑚自体は上記のネックレスの方が上質です。
最上級のエンジェルスキンの珊瑚は今日、1グラム220-230ユーロ(2017年1月現在1グラム27,500円程)で取引をされることもあるのだとか。
つまりゴールドより高い価格がつけられることがあるのです。
日本でもこのようなピンク色の珊瑚が「桃さんご」と呼ばれ、高知近海で採れたようですが、今では採取されていないそうです。
アンティークジュエリーで用いられている珊瑚は、特にフランスはかつてニースを中心とする地中海沿岸部で豊かに珊瑚が採れたということもあり、その大半が地中海沿岸部で取れたものです。
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