緑豊かな、ユートピアに咲く花
どこまでも深い緑色が印象深い、エナメルのペンダントトップ兼ブローチ。
アールヌーヴォー期のベルギーで作られたエナメルジュエリー。
1905年あたりに作られたもの。
深緑のエナメルの上に、シルバーで形作られた花々は、実在する花ではなく架空の花がモデルとなっているようです。
深い緑の上に描かれた左右対称の愛らしい花や葉が地上のユートピアを思わせ、心に焼きつきます。
エナメルの中に、さらに白いエナメルで描かれた花
エナメル部分をアップした写真をよーく見てください。
緑エナメルの中に、白っぽいエナメルでさらに花が描かれているのが分かるでしょうか?
何と高度な技、そして何と豊かな発想力なのでしょう!
「水辺に映る花の影」同じような視覚効果を生み出し、幻想的な美しさをかもし出しています。
下部に吊り下げられた淡い緑色の石は、クォーツ。
地金はシルバーで、シルバー900(90%が銀という意味)の刻印があります。
小さな写真をクリックすると大きな写真が切り替わります。
アンティークジュエリーで時々登場するエナメル。
その柔らかな質感は、どんな高価な宝石を使用したジュエリーにもかえがたい魅力があります。
エナメル(七宝焼き)とはさて一体どのようにして作るのでしょう?
エナメルはゴールドや銀などの金属製の下地の上に釉薬(ガラス質、鉱物質の微粉末を水と糊でペースト状にしたもの)を乗せ、摂氏800度前後の高温で焼くことによって作られます。
融けた釉薬によるガラス質の美しい彩色を施す技術です。
クロワゾネエナメルとは
アンティークジュエリーで見られるエナメル(エマイユ)技法のひとつで、エナメルの中でも高度な技術を要するエナメルにクロワゾネエナメルがあります。
クロワゾネエナメルとはいわゆる有線七宝のことです。
土台となる金属の上に1mmにも満たない金線を貼り付けて輪郭線を描き、できた枠内をエナメルで埋める装飾技術です。
フランスのアンティークジュエリーにおいて、クロワゾネエナメルによく用いられた色は赤や青、黒、白、緑などです。
「クロワゾネ(cloisonne )」はフランス語で「仕切られた」という意味からきています。
クロワゾネエナメルは基本的に金属の上に施されますが、下記では何とクリスタルの上にクロワゾネエナメルが施されています。
宝飾史に名を刻む19世紀後半に活躍したジュリアーノ一族が得意としたのも、クロワゾエエナメルです。
ジュリアーノは、19世紀後半にルネッサンス様式に着想を得たエナメルの重ね塗りで、一世を風靡。
白・黒、ブルー・白の点描などが有名です。
カルロジュリアーノの二人の息子、カルロとアーサーが父の跡を継ぎ、ジュリアーノ一族のエナメルワークは更なる発展を見せます。
アールヌーボー時代には、透明なエナメルも好んで用いられました。
アールヌーヴォーの時代に日本の有線七宝の影響を受けて、それがフランスで進化し、鮮やかな発色のエナメルがアンティークジュエリーが生まれました。
スイスジュネーブのスイスエナメル、フランスリモージュ地方のリモージュエナメルも人気です。
リモージュエナメルもクロワゾネエナメルの作品を主としています。
下記は当店扱いのリモージュエナメルのペンダント。
多色使いが見事です。
エナメルは指輪のショルダーなど、ジュエリーに部分的に用いられることも多くありました。
下記のケースでは、ショルダーのところに黒いエナメルが入っています。
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