同時代の小説からその価値が伺える希少な黒真珠
1900年頃のフランス製。
ゴージャスな黒真珠とダイヤモンドのペンダントネックレス。
直径1センチの大粒の天然のブラックパールが、このネックレスの最大の魅力です。
同時代のモーリス・ルブランの小説「アルセーヌルパン」にやはりブラックパールガ出てくるのですが、それを連想させます。
伯爵夫人が皇帝陛下から送られた高価な黒真珠、売却すれば「ひとつのりっぱな財産」になるといった描写があります。
この小説が書かれたのは1906年、このネックレスとほぼ同時に書かれたものです。
フランスのアンティークジュエリーでは、こうしたブラック真珠は1900年前後のジュエリーに見られますが僅かです。
手にするとずっしりとした重みがあります。
ブルーグレイの艶やかな色と、艶やかな光沢、愛しい自然の産物です。
大切にされてきたものなのでしょう、状態も非常に良いです。
またダイヤモンドの量とクオリティーにも目を見張ります。
中心のクッションシェイプのダイヤモンドは直径4ミリ。
随所にちりばめられたダイヤモンドはどれも素晴らしい透明度があり、燦々と輝きます。
この世で最も贅沢なリボン
アールヌーボーの影響を受けたエレガントなシルエット及び、それを支えた一流の宝飾技術にも注目です!
ダイヤモンドをぎっしりとパヴェセッティングして、それを幾重にも絡み合わせたリボンは、この世でもっとも贅沢なリボンです。
タヒチ真珠へのつなぎ部分も安定感がありながら、動くことでなおさら真珠がエレガントに見えるようになっています。
地金はイエローゴールドをベースに、ダイヤモンド周りの表層のみプラチナが用いられています。
横から見るとリボンの裏面に効果的にイエローゴールドを入れ込んでいるのが分かります。
チェーンもオリジナルで、チェーンの長さは40センチ。
チェーンは着け外しができるようになっており、金具を別途作成すればブローチとしても使えそうです。
天然真珠の大きさは直径1センチで、ペンダントの大きさは長さ4.5センチになります。
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真珠には天然真珠、養殖真珠という区分け以外にも産地や組成などにより、たくさんの呼称があります。
アンティークジュエリーでよく出てくる代表的な真珠の呼称をまとめると以下のようになります。
バロック真珠
形成される段階で偶然に変形した歪んだパールのことです。
真珠が形成される初期段階で、核の周りに異物が付着し、そのまま形成されて変形が生じるためであるといわれています。
自然の中での偶然の結果なので、この世に二つと同じ形は存在せしないという、魅力があります。
現在では、市場でまわる真珠のほとんどが養殖真珠であるため、皆無になってしまいました。
アンティークジュエリーでは、ルネッサンスの頃から好まれて使用されて、19世紀末頃までのジュエリーに見ることができます。
マベ真珠
母貝をマベ貝とする真珠のことです。
アンティークジュエリーにおいても珍しいですが、時々出てきます。
現代ではマベ真珠はほぼ全てが養殖で、天然のものは皆無ですが、当時はもちろんそんな技術はなく天然です。
養殖の技術は1970年代にTASAKIが開発しました。
貝殻の内側に人口の核や樹脂を貼り付けて、養殖します。
ですので現在ではマベパールは高いイメージがないかもしれませんが天然のマベ貝はまず母貝であるマベ貝の絶対量が少ないこと。
そして激しい潮流の中で生息しているため、小さな異物が入っても体外にすぐに出してしい、他の貝のよりもずっと真珠が出来にくいことで大変希少価値があります。
この指輪のマベ真珠は真円に近いですが、色々な形があります。
そして半球体です。
何ともいえない美しい照りがあり、お探しのコレクターの方も多いです。
シードパール(芥子真珠)
アンティークジュエリーで見られる極小の真珠のことです。
アンティークジュエリーでは時には1ミリにも満たないようなシードパールをネックレスなどに用いていました。
もちろんアンティークジュエリーで使われているシードパールは全て天然真珠になります。
かつて天然真珠は、剥いた貝の身を桶に集めて炎天下に置き、腐敗してどろどろになった頃を見計らって海水で洗い流し、溜まった真珠を取るといったやり方で採集されていました。
そのため大粒の真珠はもとより、小粒のものも確実に集めることができたのです。
そのようにして採取されたシードパールがヨーロッパに渡り、細工を施されてさまざまなシードパールジュエリーが作られました。
シードパールジュエリーは、19世紀のヨーロッパで黄金期を迎えます。
ケシ真珠に穴を明けて細い糸を通し(真珠が小さいだけにきわめて難易度の高い作業です)、マザーオブパールの台座に縫いつけてネックレスにされたり、ゴールドの線を通してペンダントやブローチにされたりしました。
1つのネックレスを作るのに、時には1000粒以上のシードパールが使われれたこともあります。
真珠の価値としましては昔の天然真珠であってもこれほど小さな真珠は単体では、それほど大きな価値は持ちません。
しかしたくさんの芥子真珠をあしらったものはやはりとても希少で、また真珠の数が増えれば増えるほど膨大な手作業を要します。
その作品に対して高い価値が認められています。
淡水真珠
アンティークジュエリーでも淡水パールを使ったジュエリー(主に1920年代以降のコスチュームジュエリー)は時々見られます。
淡水真珠とは海で採れる真珠ではなく、湖や川で採れる真珠のことです。
天然真珠は人工的ではなく自然に異物が貝に入り込み、そこから時間をかけて真珠層が形成されるため石のほとんどすべてが真珠層でできているのですが、淡水真珠も100パーセント真珠層で作られています。
価格的には海の天然真珠にかないませんが、それでも昔の淡水真珠は真珠層が厚く光沢もよく、現代の淡水真珠と比べ物にならないほど美しいです。
時に海の天然真珠と見分けが困難なほどですが、淡水真珠のほうがフラットな輝きであることが多く、隣において見比べますと分かりやすいです。
コスチュームの淡水真珠のアンティークジュエリーは価値的には真珠そのものにあるというより、その時代を反映したデザインや細工の面白さなどが魅力です。
ミシシッピ真珠
淡水真珠の一つでアンティークジュエリーで知られた真珠に「ミシシッピ真珠」があります。
ミシシッピパールは、ミシシッピ川に生息する川真珠貝の二枚貝から偶然採れた天然真珠です。
その形が羽のようなので「フェザーパール」とも呼ばれます。
その独特の形状から多くのジュエラーを魅了し、素晴らしい品を後世に残しています。
下記は当店で扱いのミシシッピパールのピアス。
マザーオブパール
日本語では真珠母貝で、その名の通り真珠を産み出す貝のことです。
現在真珠の母貝として使用されているものは、白蝶貝・黒蝶貝・茶蝶貝・あこや貝・淡水真珠貝・コンク貝等。
マザーオブパールという名前そのものは、複数の貝を指しますが、アンティークジュエリーで出てくるのはほとんどが白蝶貝のマザーオブパールです。
フランスでも古くから重用されて、扇の骨部分やオペラグラス、ジュエリーケースなどに用いられてきました。
しかしジュエリーに用いられたのはほんの少しです。
南洋真珠
オフホワイトやクリーム色以外のブラックパールなどの色の付いた真珠は、1845年頃から出始めます。
この南洋真珠をスターダムに押し上げたのがフランス皇帝ナポレオン3世の妻ウジェニー・ド・モンティジョ(Eugenie de Montijo)です。
特に美しい黒色の南洋真珠は、クロチョウガイ(黒蝶真珠)と呼ばれます。
クロチョウガイはアコヤガイ、シロチョウガイと同じウグイスガイ科の二枚貝で、赤道を中心とする南北約30度以内の暖かい地域に生息します。
生息最適水温は24-29度ぐらいで、18度では成長がとまり、11-12度になると死んでしまうデリケートな真珠です。
クロチョウガイには多くの変種があり、その仲間はペルシャ湾、西インド洋、沖縄、ミクロネシア、ポリネシア、カリフォルニア湾へ分布しています。
フランスのアンティークジュエリーで度々目にするのが、フランス領ポリネシア地域のクロチョウガイです。
タヒチを中心にするエリアでもあることからよく「タヒチ真珠」とか「南洋真珠」とも呼ばれることがあります。
現在ではタヒチのクロチョウガイも養殖が多くなっており、他の真珠を染色処理し、黒真珠と呼んでいるものもありますので、注意が必要です。
黒色真珠の養殖は白色の真珠の養殖よりも更に後年になり、アンティークジュエリーで見られる南洋真珠は取り替えられていない限り天然真珠が使われています。
「ブラックパール」と言っても、黒、緑、グレーを帯びたものなどニュアンスはさまざまです。
アンティークエピソード集のページでは、様々なアンティークに関するエピソードをご覧いただけます。
アンティークリング、アンティークネックレス、アンティークピアス、アンティークブレスレット等、希少なヨーロッパのアンティークジュエリーを随時100点以上揃えています。
シェルシュミディで取り扱うアンティークジュエリーは、全てオーナーが直接フランス、イギリスを主としたヨーロッパで買い付けてきたものです。