コーンサファイヤ色のブルーサファイヤ
ブルーサファイヤの中でも最良と言われる、「コーンフラワーブルー(矢車草の花の青色)色」のブルーサファイヤ。
コーンフラワーブルーのサファイヤは、サファイヤの中でも最高級の色で色合いだと言われています。
産地の確定はアンティークジュエリーの場合難しいことが多いのですが、当時の典型的なセイロンサファイヤの色です。
アンティークジュエリーで用いられるサファイヤの大半は、少し色が濃い紺色のサファイヤが多いので、希少で貴重です。
サファイヤ自体アンティークジュエリーにおいて決して多い宝石ではなく、その中で最良の色のサファイヤ、しかもピアスを見つけられることは滅多にありません。
アールデコらしいカリブレカットとジオメトリックなデザイン
アールデコのジュエリーの特徴が如実に出ているところも魅力です。
サファイヤがカリブレカットと呼ばれる、特徴的なカッティングにされています。
カリブレカットはアールデコ期のアンティークジュエリー以外ではほぼ見られない、この年代に特徴的なカッティングです。
このように直線的に石をカットして、爪なしでセットをするのには高度な技術が必要です。
美しいカリブレカットは、相当ハイクラスの作品でしかまず見ることがありません。
ダイヤモンドも透明できれいな11石ずつ。
トライアングルの台座に、埋め込まれるように深くセットされています。
ピアスはひし形とトライアングル、幾何学的な形のパーツで構成されていて、ジオメトリックな1920-1930年代のアールデコデザインの特徴が出ています。
1920-1930年頃のイギリス製。
イギリスの9カラットを示す「375」という数字が、針部分に押されています。
9カラットホワイトゴールド。
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カリブレカットとはフランス語でCalibre cut(カリブレカット)。
カリブレカットは20世紀に入ってから登場する石留めの技術で、特にアールデコ期のジュエリーにセットされた宝石に見られるカッティング技法です。
カリブレカットは石を留めるのに爪を使わずに、石の両側の縁をわずかに倒して留めます。
アールデコ期(1920年代)に同じ色の同じ形の連続する石を留める時に用いられた技法で、主にアクセントカラーとなる色石に用いられました。
希代のアールデコのジュエラーは、カリブレカットした宝石を用いた対照色が美しい作品を残しています。
下記はJ.E Coldwellのカリブレカットルビーとダイヤモンド、オニキスのブローチ。
下記は当店で販売済みのカリブレカットルビーに珍しくアクアマリンを合わせたリングで、補色の色の組み合わせが美しいです。
カリブレカットが施された代表的な宝石がブルーサファイアとルビーです。
しかしカルティエなどの一部のグランメゾンはエメラルドのカリブレカットで素晴らしい作品も残しています。
下記はジョルジュ・フーケのエメラルドとカリブレカットサファイヤ、ダイヤモンドのブレスレット(1925年作)。
下記は当店扱いのカリブレカットエメラルドのリング。
宝石を幾何学的な形にカットしスッキリとしたラインを強調することで、アールデコらしいシャープなラインが生まれます。
カリブレカットのメリットは何とっても石と石の間に爪が見えないこと。
小さな石を連続してラインを作る時、宝石がすっきりとして見えるのが魅力です。
その端正なラインは、非常に高い宝飾技術によって支えられています。
シャープでモダンなアールデコのアンティークジュエリーは世界的にとても人気がありますが、カリブレカットが施された宝石が配されたものはとりわけ探されています。
アールデコ期に作られたカリブレカットのジュエリーは指輪がもっとも多いですが、下記のようなネックレスやブローチなどでも見られます。
ちなみにこちらのネックレスのカリブレカットルビーは合成(シンセティック)です。
カリブレカットの色石は多くの色石を要するのと、特にルビーのパーティングと言う特性により、一流のジュエリーにも時々シンセティックルビーやシンセティックサファイヤが用いられたものがあります。
また天然宝石とシンセティックの混ざったものもありますので、そのジュエリーを販売している業者さんが全てきちんと調べているか確認することが大事です。
(ご納得された上でご購入されるのであれば、問題はありません。)
下記はブローチです。
1920年頃、カリブレカットした色石はブローチではこのようなバーブローチにされたケースが多いです。
またアールデコより少し後年の1940年代の高級時計にも時々、カリブレカットのサファイヤやルビーがセットされた宝飾時計が作られました。
カリブレカットした宝石を用いたジュエリーは実にデザインが優れたものが多いです。
長方形、正方形、台形など作り上げたいデザインに応じて、小さく面取りしてカットしてレール状の台座にはめ込んでいく、まるで「宝石のパズルのような技法」ですから、当然ともいえます。
カリブレカットによって、アールデコのジュエラーは思い描いたデザインをより自由に大胆に表現することが出来たのです。
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