珍しいオニキスのアンティークピアス
黒石はオニキスです。
オニキスというと真っ黒な石のイメージがあると思いますが、オニキスは複数の色の層からできた石です。
オニキスは「黒地に白い縞が入ったアゲート」のことを指し、和名は「黒めのう」です。
中央の白い線は、オニキスの白い縞です。
オニキスの持つ白い層と全体の黒色の色のコントラストを利用しています。
このピアスのように、まっすぐに白い結晶が見えるオニキスは数的に少ないです。
ましてこのピアスのオニキスは半球体で、面積としても大きくありません。
そんなドーム状のこの大きさのオニキスで、この位置に白い線が見えるのは希少です。
アールデコの黒の魔術師
アンティークジュエリーでも「黒色の宝石」は、オニキスとジェットぐらいしかありません。
そのため黒色が重用されたアールデコ期には、「黒い漆」が好まれて用いられたほどです。
「黒に白」、色の対比が見事です。
オニキスは半球体で厚みと重みがしっかりありますので、そんなオニキスを支えるためゴールドも惜しみなく用いられています。
作りはしっかりしていて触れると意外なほど重みがあります。
ピアスのフェイス部分は直径9ミリほどの真円です。
耳にぴったりとフィットして、かつ黒色が額縁のように映える洗練されたピアスです。
1920年頃のフランス製。
18カラットゴールド。
動画も撮影しています。
ブラックオニキス(黒メノウ)ゴールドピアス
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理性の石、オニキス
オニキスは、水晶と同成分の瑪瑙(めのう)の一種で、ブラックオニキスはその名の通り黒いオニキスです。
オニックス(ギリシャ語で人の爪)とも呼ばれ、アンティークジュエリーにおいても古代から「魔除けの石」として大事にされてきた宝石です。
古くから司教のロザリオ、またモーニングジュエリー(喪のジュエリー)などに使われてきました。
感情が乱れやすいときや意志の弱いときに身につけると、気持を鎮め理性的な感情になれる、「理性の石」である信じられています。
オニキスとアールデコのジュエリー
石としての美しささが改めて評価され、ハイジュエリーが生み出さるようになるのは、アールデコ時代です。
アールデコジュエリーが作られた1920年代はまさにフランス宝飾界のゴールデンエンジ。
類稀な「才能、嗜好のよさ、お金」がパリに集結。
ジュエラーたちは新たな創造、インスピレーションを、モダン社会に世界に求めました。
中でも偏狂とも言えるほどのオリエント(東洋)へ熱狂し、宝石の選別と装飾様式に顕著に現れていきます。
東洋への憧れの中で一躍注目を集めたのが、エナメル技法、マザーオブパール、珊瑚、オニキス、翡翠。
そして特に「これらの宝石を組み合わせること」でよりエギゾティックでオリジナルな効果が生まれました。
1920年前後は一流ジュエラーがオニキスを好んでそのジュエリーに取り入れました。
ブラックオニキスはアールデコ期に、間違いなくもっとも愛された宝石のひとつです。
下記は当店で販売済みの1920年代のオニキスのブレスレットです。
ジュエリーは黒や黒の背景があると映えるため、ブラックオニキスはルビーなどの指輪と一緒に使われました。
オニキスがなぜ当時の一流ジュエラーに重用されたかというと、以下のような理由です。
1)真っ黒なブラックオニキスが、特にこの時代愛されていたダイヤモンと真珠といった宝石を美しく際出せること。
2)宝石全体の輪郭をはっきりさせ、1920年代に代表されるモダンデザインを作り上げるのにぴったりであったこと。
3)黒いキャンバスのように背景に使うことで、宝石全体に影のように立体感を生むこと。
カルティエやヴァンクリーフアーペルといったメゾンの当時のコレクションにも「オニキスx珊瑚」「オニキスx翡翠」「珊瑚xエナメル」が多く見られます。
下記は当店で販売済みのオニキスと珊瑚のピアス。
やはりアールデコのジュエリーです。
オニキスの層
オニキスはまた真っ黒な石のイメージがあると思いますが、複数の色の層からできた石です。
そのためその色の層の違いを活かして下記のような作品も作られました。
オニキスのカメオや彫刻
オニキスの石は硬度が7で彫り物にもちょうど良く、彫り物が施された作品も見られます。
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