カタログにでてきそうな顕著なアールデコ様式
1920年代のフランス製。
アールデコの時代に作られたジュエリーも、これほど顕著にアールデコ様式を反映しているものは、少ないです。
まさにアンティークジュエリーのカタログにでてきそうな、幾何学モチーフ。
黒い輪は、当時重用されることの多かったオニキス。
中心に丸い珊瑚があしらわれています。
大きめのモチーフに対して、留め具とモチーフをつなげる部分がとても細いところも特徴的。
細いストレートの線のようなつなぎには、珊瑚とパールが交互にあしらわれていて、色の遊びがとても素敵です。
カルティエもヴァンクリーフアーペルも好んだ組み合わせ
「オニキスx珊瑚」という組み合わせは1920-30年頃のカルティエやヴァンクリーフアーぺルの作品にもよく見られます。
これは対称的で鮮やかな色の組み合わせが好まれた、アールデコ期独特のものです。
絵画もそうですが黒の額縁は、ジュエリー全体を美しく引き締めます。
一見シンプルに見えるアールデコのジュエリーですが、こうしたシンプルなデザインと対比する色使いほど、絶妙なセンスと技が求められるます。
地金はシルバー。
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理性の石、オニキス
オニキスは、水晶と同成分の瑪瑙(めのう)の一種で、ブラックオニキスはその名の通り黒いオニキスです。
オニックス(ギリシャ語で人の爪)とも呼ばれ、アンティークジュエリーにおいても古代から「魔除けの石」として大事にされてきた宝石です。
古くから司教のロザリオ、またモーニングジュエリー(喪のジュエリー)などに使われてきました。
感情が乱れやすいときや意志の弱いときに身につけると、気持を鎮め理性的な感情になれる、「理性の石」である信じられています。
オニキスとアールデコのジュエリー
石としての美しささが改めて評価され、ハイジュエリーが生み出さるようになるのは、アールデコ時代です。
アールデコジュエリーが作られた1920年代はまさにフランス宝飾界のゴールデンエンジ。
類稀な「才能、嗜好のよさ、お金」がパリに集結。
ジュエラーたちは新たな創造、インスピレーションを、モダン社会に世界に求めました。
中でも偏狂とも言えるほどのオリエント(東洋)へ熱狂し、宝石の選別と装飾様式に顕著に現れていきます。
東洋への憧れの中で一躍注目を集めたのが、エナメル技法、マザーオブパール、珊瑚、オニキス、翡翠。
そして特に「これらの宝石を組み合わせること」でよりエギゾティックでオリジナルな効果が生まれました。
1920年前後は一流ジュエラーがオニキスを好んでそのジュエリーに取り入れました。
ブラックオニキスはアールデコ期に、間違いなくもっとも愛された宝石のひとつです。
下記は当店で販売済みの1920年代のオニキスのブレスレットです。
ジュエリーは黒や黒の背景があると映えるため、ブラックオニキスはルビーなどの指輪と一緒に使われました。
オニキスがなぜ当時の一流ジュエラーに重用されたかというと、以下のような理由です。
1)真っ黒なブラックオニキスが、特にこの時代愛されていたダイヤモンと真珠といった宝石を美しく際出せること。
2)宝石全体の輪郭をはっきりさせ、1920年代に代表されるモダンデザインを作り上げるのにぴったりであったこと。
3)黒いキャンバスのように背景に使うことで、宝石全体に影のように立体感を生むこと。
カルティエやヴァンクリーフアーペルといったメゾンの当時のコレクションにも「オニキスx珊瑚」「オニキスx翡翠」「珊瑚xエナメル」が多く見られます。
下記は当店で販売済みのオニキスと珊瑚のピアス。
やはりアールデコのジュエリーです。
オニキスの層
オニキスはまた真っ黒な石のイメージがあると思いますが、複数の色の層からできた石です。
そのためその色の層の違いを活かして下記のような作品も作られました。
オニキスのカメオや彫刻
オニキスの石は硬度が7で彫り物にもちょうど良く、彫り物が施された作品も見られます。
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