時代が求めた新しいデザイン
フォーティーズ(1940年代、正確には1937年頃からを指します)の特徴が良く出たジュエリーです。
1930年代のフランスは「白いジュエリー」、ホワイトゴールドやプラチナを主体にしたジュエリーが一世風靡しますが、1930年代後半はそれまで続いた白いジュエリーの時代が終焉し、イエローゴールドを大胆に使ったジュエリーが作られるようになります。
この時代のジュエリーは艶のある明るいイエローゴールドが、肉厚でたっぷり使われています。
デザインもアールデコを継承しながらも、時代に即した新しいデザインが生み出され、それらがやがて主流になっていきます。
こちらのピアスは「貝」のような個性的なデザインで、美しいゴールドのうねりの中で輝く一粒のダイヤモンドが印象的です。
全体はこの時代らしい艶やかな発色の良いイエローゴールドですが、一部だけ貝の膜のようプラチナが入れられています。
海のような幻想的な世界観を感じさせる、見事なジュエリークリエーションです。
高価な素材と高い技術
貝殻のアウトラインは三重に柔らかいカーブを描いています。
特にこうした柔らかいシルエットをジュエリーで自然に表現することは難しく、高度なテクニックで作られていることが分かります。
宝飾メーカーが斬新な新しいデザインが生み出し、前世紀の貴族的な芸術性よりもファッション性を重視した新しい産業ブルジョワ層がそれを支える。
このようにして生まれたフォーティーズジュエリーは優れた宝飾技術、そして上質な素材が惜しげなく使われたジュエリーが見られ、近年評価がうなぎのぼりです。
針はロックできるようになっていて、針をちょっと持ち上げることで開閉ができますので、失くしにくいです。
こうしたところも作りの良さが感じられます。
ゴールドは18K。
1930-40年頃のフランス製。
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どこまでが「アンティーク」でどこからが「ヴィンテージ」なのか?
アンティークやヴィンテージという言葉はよく耳にしますね。
ではどこまでを「アンティークジュエリー」と呼び、どこからを「ヴィンテージジュエリー」と呼ぶのでしょうか?
「アンティークは100年以上たったもの」という定説はありますが、今日ではジュエリーに関しては1930年代のアールデコまでを含んで「アンティークジュエリー」と呼ぶのが一般的です。
1930年代と言いますと厳密に言えば100年を経ていないですが、ジュエリーの素材や製造過程、デザインがその時代特有のものか、量産を目的としたジュエリーか否かがアンティークとヴィンテージを分けるひとつの基準で、それが1930年代で分かれると考えられています。
それでは1940年以降のジュエリーに価値がないかというとそういう訳ではありません。
特に1940年代のジュエリーには戦火の迫る中、その時代にしかない特徴的なデザインで高く評価されています。
下記は1940年代を代表する指輪デザイン「タンクリング」です。
1940年代というと、第二次世界大戦を思い浮かべる人が多いようです。
ですので40年代ジェエリーというと、「戦争中にジュエリーなんて作っていたのですか?」と質問をされることがあります。
40年代ジュエリー(フォーティーズスタイル)とは正確に言うと、1939-1943年当たりに作られたジュエリーを指します。
1940年代はリングで特に特徴的なジュエリーが作られましたが、ピアスも大ぶりで磨き上げられたゴールドが鮮やかな華やかな作品が作られました。
1940年代のカクテルジュエリーと戦後エステートジュエリーに関して更に詳しい情報は1940年代のカクテルジュエリーと戦後エステートジュエリーをご参照ください。
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