アンティークリング、アンティークネックレス、アンティークピアス、アンティークブレスレット等、希少なヨーロッパのアンティークジュエリーを随時100点以上揃えています。
どこまでが「アンティーク」でどこからが「ヴィンテージ」なのか?
アンティークやヴィンテージという言葉はよく耳にしますね。
ではどこまでを「アンティークジュエリー」と呼び、どこからを「ヴィンテージジュエリー」と呼ぶのでしょうか?
「アンティークは100年以上たったもの」という定説はありますが、今日ではジュエリーに関しては1930年代のアールデコまでを含んで「アンティークジュエリー」と呼ぶのが一般的です。
1930年代と言いますと厳密に言えば100年を経ていないですが、ジュエリーの素材や製造過程、デザインがその時代特有のものか、量産を目的としたジュエリーか否かがアンティークとヴィンテージを分けるひとつの基準で、それが1930年代で分かれると考えられています。
それでは1940年以降のジュエリーに価値がないかというとそういう訳ではありません。
特に1940年代のジュエリーには戦火の迫る中、その時代にしかない特徴的なデザインで高く評価されています。
1940年代というと、第二次世界大戦を思い浮かべる人が多いようです。
ですので40年代ジェエリーというと、「戦争中にジュエリーなんて作っていたのですか?」と質問をされることがあります。
40年代ジュエリー(フォーティーズスタイル)とは正確に言うと、1939-1943年当たりに作られたジュエリーを指します。
1940年代の20世紀アンティーク?
フランスは1930年代が特に「白いジュエリーの時代」と言われ、ホワイトゴールドやプラチナを中心に白い地金のジュエリーが流行します。
ジュエリーの表部分にホワイトの地金を用いたジュエリーは1900年頃からトレンドになっていましたから、そうした「白いジュエリーの時代」は実に35年ほど続いたことになります。
1945年に戦争が終わるまでに、ジュエラーたちは6年間続いたジュエリー製作の制約をはねのけるように、大ぶりで大胆なジュエリーを製作し始めます。
1940年代のジュエリーのデザインにはそれ以前の1920-1930年代のアールデコのジュエリーに類似したところもありますが、その大きな違いはアールデコのジュエリーが平面的であるのに対して、1940年代のジュエリーはよりボリュームがあり立体的であるところです。
渦を巻いた模様や膨らみのあるリボンシェイプ等、三次元的なデザインが発展していきます。
下記は当店で販売済みの1940年代のイエローゴールドタンクブレスレット。
チャームにそれぞれ仕掛けが施された、遊び心溢れるジュエリーです。
「フォーティズスタイル」と呼ばれる重厚感のある40年代のジュエリー。
その代表的な指輪が、バックルやベルトなどがモティーフにダイヤモンドやルビーなどの色石を配したこのカクテルリング、カクテルブレス、カクテルウォッチです。
下記は当店で販売済みの1940年代のカクテルジュエリーウォッチ。
カバーを開くと時計が出てくるやはりサプライズのある、遊び心あるジュエリーです。
イヴニングドレスやカクテルドレスにこのような見栄えのする豪華なジュエリーで華を競いました。
カクテルリングの他、タンクと呼ばれる四角張ったボリューム感じのある指輪、ポン(橋)、ヌー(リボン)といった特徴的な指輪デザインも生み出されました。
下記は当店で販売済みのヌー(リボン)のリング。
40年代の作品です。
物騒な時代背景と対照的に40年代のジュエリーは、肉厚で華やかな明るい作品が多いです。
コスチュームジュエリーの先駆けを作った1940年代ジュエリーは「20世紀アンティーク」と呼ばれることもあります。
戦後エステートジュエリー
戦争から解き放たれた開放感とともにより自由で女性的なデザインにか変わっていきます。
アールデコを継承した幾何学的なデザインの他に花やリボンなどフェミニンなデザインのジュエリーが作られ、それらが流行の主流になっていきます。
1930年代までのジュエリーに比べて制約から放たれ解放感に溢れ、女性的で柔らかいデザインです。
デザインも簡略化されているものの、ジュエリー製作としては非常に手が込んでおり高い技術が用いられています。
ファッションの世界では1947年にクリスチャン・ディオールが発表したコレクションが「ニュールック」と呼ばれヨーロッパ中を席捲します。
ゆったりなだらかな肩に細く絞ったウエスト、長いフレアースカートが特徴です。
ジュエリーもエレガントで女性的なシルエットが求められるようになります。
艶やかなイエローゴールドをたっぷり使用したジュエリーは、戦後の女性達が求めたフェミニンなファッションと共に時代の主流になっていきます。
下記は当店扱いの1940-1950年頃製作推定のブローチ。
裏面がクリップになっているのも特徴的です。
価格が5倍も暴騰をしたエステートジュエリーもあります!
フランスをはじめ欧米ではこの20年来、1940-1950年代のジュエリーに対する歴史的評価が確立しています。
特に近年評価が急騰しているのが、戦後1940-70年代のグランメゾン(ブランド)の製作したジュエリーです。
この時代にヴァンクリーフアーペルやカルティエが製作したジュエリーは、近年世界中の名だたるオークションで驚くほど高価に取引されています。
その値上がりのすざまじさは一説には、2008年の頃と比べて5倍ほどあがったものもあるそうです。
専門書も立て続けに出るなど、フランスをはじめ西欧で今一番「熱い」ジュエリー。
欧米のセレブリティが近年こぞって手に入れようとしているのがこの時代のグランメゾンのジュエリーです。
アンティークジュエリーには及ばないにしても、現代と比べれば宝石の品質も良いことが多く、価値が認められつつあります。
こうした主に一流ブランドのヴィンテージジュエリーは「エステートジュエリー」と呼ばれて取引されることが多いです。#
下記は1949年、ヴァンクリーフアーペル製作のパウダーケースです。
イエローゴールドで表面は籐細工をイメージしています。
ダイヤモンドに緑石はカリブレカットされたエメラルド、中を開けると鏡があります。
20世紀初頭からこの時代にかけてはジュエリーのみならずこうした至極贅沢な女性の喫煙や化粧にまつわる小物が作られました。
下記もヴァンクリーフアーペル。
1943年製作、バレリーナのブローチ。
2作品とも2010年のクリスティーズのオークションに出品されていた作品で、当時の推定価格も非常に高価ですが、それでも今では(2018年現在)この時の数倍の価格がつきます。
またVCA(ヴァンクリーフアーペル)は1950年代から動物をモチーフにしたチャームブローチで一世風靡します。
そのインスピレーションは何とアニメ映画から来ているそうです。
c) Sotherby's
シェルシュミディで取り扱うアンティークジュエリーは、全てオーナーが直接フランス、イギリスを主としたヨーロッパで買い付けてきたものです。