幻のペルピニャンガーネット
多くのお客様からお問合せを頂くペルピニャンガーネット。
フランス南西部、ペルピニャン地方でかつて採れた幻のガーネットです。
裏面に金箔を入れているということもありますが、ボヘミアンガーネットの色と一線を画す、従来のガーネット観を覆す明るい色のガーネットです。
20年ほど前に当店が初めてペルピニャンガーネットを仕入れたときは日本では全く認知されていませんでした。
それが現在では日本はもちろん他のアジア諸国やアメリカなどでも引っ張りだこです。
アメリカなどでもアジア系の方に人気なようで、私たちの肌色にとてもよく合うからという
のも人気の理由の一つのようです。
ペルピニャンガーネットのアンティークジュエリーでも特に古い、19世紀中期の作品です。
この時代のペルピニャンガーネットは少し紫を帯びていることが多いです。
ピンク紫の色調を帯びた明るい赤色です。
王道を行くバーブローチ
ペルピニャンガーネットのアンティークジュエリーの大半はブローチです。
7石のガーネットを直線的に並べたバーブローチは、まさにペルピニャンガーネットの王道を行く作品です。
台座部分の棒状の彫金の模様は、ペルピニャンガーネットのアンティークジュエリーの特徴です。
規則的に石にかかったゴールド爪も、王道のペルピニャンガーネットセッティングです。
裏面はぽっちゃりしたようなお椀状のクローズドセッティングになっています。
このような伝統的なペルピニャンガーネットのブローチは近年では入手が難しく、久しぶりに仕入れることができました。
古い時代のブローチですが状態も良いです。
19世紀中期のフランス製。
18カラットゴールド。
動画は下記をクリックしてご覧ください。
ペルピニャンガーネット アンティークゴールドブローチ










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イギリスのでもフランスでもアンティークジュエリーでもに使われているガーネットの大半がボヘミア産。
ボヘミアンガーネットはちょっと黒っぽい赤色をしており、アンティークガーネットと言うとそのイメージを強くお持ちの方も多いのはないでしょか?
しかしペルピニャンガーネットの用いられたアンティークジュエリーを見れば、そのイメージは払拭されるはずです。
ペルピニャンガーネットとは、フランス南西部ペルピニャン地方で産出されていた希少な美しいガーネットのことです。
カタランの文化歴史を象徴する宝石で、その歴史は1750年に遡ります。
ペルピニャンガーネットが採掘されたのは、18世紀半ばから1920年代にかけてです。
鉱山からガーネットが採掘されることはもうありません。
ペルピニャンガーネットは、深いピンクがかった赤ワイン色をしており、同じサイズのルビー以上の価値があると言われるずば抜けた宝石です。
昔から数は少なく、フランスアンティークジュエリーにしか(しかもそのほんのごく一部)存在しません。
フランス現地でもやはりアンティークでしか手に入らないペルピニャンガーネットは、まさに幻の石です。
まさにフランスのアンティークジュエリーに限定された美しいアンティークガーネットです。
下記は当店で数年前に販売済みのペルピニャンガーネットのピアスですが、いまだに多くお問い合わせを頂きます。
 
 
ペルピニャンガーネットのセッティングは、この地方独自のもので、「ペルピニャンセッティング」と呼んだりします。
石の下をゴールドで閉じます。
 
 
ガーネットそのもののカッティングも独特で、石が閉じられているので見にくいですが下は平らで、上にたくさんのファセットをつけています。
パピヨンと呼ばれるヴェルメイユの破片をガーネットとゴールドの間にいれて、美しい反射を起こすこともあります。
ペルピニャンガーネットは、真っ赤のものから、ピンク帯びた赤、ワイン色がかった赤と複数の色があります。
いずれの色もボヘミアンガーネットよりずっと明るい色調の赤が特徴的です。
下記のリングでは、真っ赤なペルピニャンガーネットとピンクを帯びたガーネットの両方が用いられていますが、どちらもボヘミアンがーネットにはない明るい色調です。
 
 
ペルピニャンガーネットが生まれたペルピニャンという街はフランス南西部の都市です。
ペルピニャンの歴史は極めて古く、ローマ時代から人が定住していたといわれています。
中世になってペルピニャンの街の建設が始まり、1276年から1344年までは、マヨルカ王国の王国の首都として栄えます。
時代の中でマヨルカ王国に組み込まれたりバルセロナ伯領となったり、過酷な歴史を生きつつも、いつの時代もペルピニャンは複数の文化が入り乱れる工芸品の中心地でした。
ジュエリーもパリを中心としたジュエリーとはまた異なる味わいのジュエリーが作られました。
一つにはこの地域は鉱物的に非常に豊かな地域であったからです。
古くは銀、ゴールド(共に閉山しています)、そして宝石ではガーネットが産出され、この地域においてジュエリーは一大産業でした。
そしてその主役がガーネットでした。
ペルピニャンガーネットの一部はスペインに運ばれかの地でジュエリーにされたものもありました。
これはやはりスペイン国境の約20キロに位置する地理的要因も大きかったことでしょう。
「ペルピニャンガーネット」と言う呼称は産地による呼称であり、いわゆる鉱物名ではありません。
産地を取って「カシミールサファイヤ」と呼ぶのと同じロジックです。
アンティークエピソード集のページでは、様々なアンティークに関するエピソードをご覧いただけます。
アンティークリング、アンティークネックレス、アンティークピアス、アンティークブレスレット等、希少なヨーロッパのアンティークジュエリーを随時100点以上揃えています。
シェルシュミディで取り扱うアンティークジュエリーは、全てオーナーが直接フランス、イギリスを主としたヨーロッパで買い付けてきたものです。