カリブレカットされた見事なビルマ産ルビー
艶やかなルビーのブローチ。
ルビーは「カリブレカット」と言って、爪を使わずに同じ形のルビーを敷き詰めるようにセットされています。
艶やかな色彩の明るい赤色のルビーに、惚れ惚れします。
ルビーの理想的な色はいくつかありますが、僅かにピンクを帯びたこのような色がその一つです。
当時のビルマ産ルビーの色です。
四角いカッティングでカリブレカットされたルビーとダイヤモンド。
このような対称的な色づかいは、アールデコ期に好まれました。
ダイヤモンドはオールドヨーロピアンカットで、キューレットの先端が僅かに切り落とされているのが見えます。
ザ・アールデコの逸品
1920年頃の宝飾技術とデザインの特徴が如実に出ている作品です。
カリブレカット自体がこの時代に流行したカッティングで、カルティエを代表するグランメゾンもこの時代にこぞってカリブレカットの秀作を生み出しています。
宝飾技術も秀逸で、史上最高の宝飾技術と言われたこの時代にふさわしいものです。
台座の透かしの緻密さ。
ダイヤモンドの台座のみ表層をプラチナに切り替えている、その凝った作り。
バーブローチは、ロックできる仕組みになっています。
フランス18金の刻印の他に、針部分に工房印。
加えてセーフティーバーにシリアル番号(638)も打たれています。
一流の宝飾店の作品だと思います。
1920年頃のフランス製。
18カラットゴールド。
動画も撮影しています。
カリブレカットルビーとダイヤモンドのブローチ(アールデコ)
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カリブレカットとはフランス語でCalibre cut(カリブレカット)。
カリブレカットは20世紀に入ってから登場する石留めの技術で、特にアールデコ期のジュエリーにセットされた宝石に見られるカッティング技法です。
カリブレカットは石を留めるのに爪を使わずに、石の両側の縁をわずかに倒して留めます。
アールデコ期(1920年代)に同じ色の同じ形の連続する石を留める時に用いられた技法で、主にアクセントカラーとなる色石に用いられました。
希代のアールデコのジュエラーは、カリブレカットした宝石を用いた対照色が美しい作品を残しています。
下記はJ.E Coldwellのカリブレカットルビーとダイヤモンド、オニキスのブローチ。
下記は当店で販売済みのカリブレカットルビーに珍しくアクアマリンを合わせたリングで、補色の色の組み合わせが美しいです。
カリブレカットが施された代表的な宝石がブルーサファイアとルビーです。
しかしカルティエなどの一部のグランメゾンはエメラルドのカリブレカットで素晴らしい作品も残しています。
下記はジョルジュ・フーケのエメラルドとカリブレカットサファイヤ、ダイヤモンドのブレスレット(1925年作)。
下記は当店扱いのカリブレカットエメラルドのリング。
宝石を幾何学的な形にカットしスッキリとしたラインを強調することで、アールデコらしいシャープなラインが生まれます。
カリブレカットのメリットは何とっても石と石の間に爪が見えないこと。
小さな石を連続してラインを作る時、宝石がすっきりとして見えるのが魅力です。
その端正なラインは、非常に高い宝飾技術によって支えられています。
シャープでモダンなアールデコのアンティークジュエリーは世界的にとても人気がありますが、カリブレカットが施された宝石が配されたものはとりわけ探されています。
アールデコ期に作られたカリブレカットのジュエリーは指輪がもっとも多いですが、下記のようなネックレスやブローチなどでも見られます。
ちなみにこちらのネックレスのカリブレカットルビーは合成(シンセティック)です。
カリブレカットの色石は多くの色石を要するのと、特にルビーのパーティングと言う特性により、一流のジュエリーにも時々シンセティックルビーやシンセティックサファイヤが用いられたものがあります。
また天然宝石とシンセティックの混ざったものもありますので、そのジュエリーを販売している業者さんが全てきちんと調べているか確認することが大事です。
(ご納得された上でご購入されるのであれば、問題はありません。)
下記はブローチです。
1920年頃、カリブレカットした色石はブローチではこのようなバーブローチにされたケースが多いです。
またアールデコより少し後年の1940年代の高級時計にも時々、カリブレカットのサファイヤやルビーがセットされた宝飾時計が作られました。
カリブレカットした宝石を用いたジュエリーは実にデザインが優れたものが多いです。
長方形、正方形、台形など作り上げたいデザインに応じて、小さく面取りしてカットしてレール状の台座にはめ込んでいく、まるで「宝石のパズルのような技法」ですから、当然ともいえます。
カリブレカットによって、アールデコのジュエラーは思い描いたデザインをより自由に大胆に表現することが出来たのです。
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