デザイン美、機能美、ファッション性、新しい時代を告げるジュエリー
花束を鮮やかに描いた、華麗なブローチです。
二つの花と二つの葉、いずれも造形的で素晴らしくかっこいいデザイン。
横3.8センチ、縦6センチと大きさがあり、さらに肉厚なイエローゴールドをたっぷりと用いてボリュームがあるのもこの時代のジュエリーならではの特徴です。
前世紀までの貴族的なデザインのジュエリーとはまったく異なるジュエリー。
1940-1950年のこのようなハイクラスのジュエリーはここ十数年の内に、欧米で大きく評価があがっています。
その魅力は他のどの時代とも異なるデザイン性、機能美、そして前世紀から受け継いだ製作技術の高さです。
(この時代は、技術力の高い職人がまだ多くいましたのでクオリティーもとても良いのです)
20世紀初頭までのジュエリーの主体が貴族にあり、彼らのオーダーメイドによって発達したのが従来のアンティークジュエリーだとすれば、この時代のジュエリーはジュエリーメーカーのクリエイション、レベルの高い物作りによってその繁栄がもたらされます。
この時代のこのようなハイクラスのジュエリーは「エステートジュエリー」と呼ばれ、ヨーロッパではとこの数年来、この時代のジュエリーが最も重要で人気があります。
ブームは少し前に到来し、そしてその評価は天井知らず。
これからも楽しみだけれども非常に高価になり、手に入れにくくなってしまった時代のジュエリーです。
ルビー、ブルーサファイヤ、トルマリンと贅沢な宝石使い
赤石がルビーで青石がブルーサファイヤですが、一番上のお花の中に入った赤石だけがピンクトルマリンです。
後年取り替えられた可能性がゼロともいえませんが、その跡もなく色も他の石とぴったり合っていますので、オリジナルの可能性も高いです。
いずれの石も明るい色調の実に素晴らしいクオリティーの宝石が用いられていてます。
美しいピンクを帯びたルビーは典型的なビルマ産ルビー、ブルーサファイヤもカボションカットにされるだけのグッドクオリティーの粒ぞろいの石が使われています。
トルマリンも明るい艶やかな赤です。
この年代のジュエリーの魅力はまた贅沢な宝石使いにもあります。
普通のブローチピンとは異なる、このようなクリップタイプのブローチは1930年代に流行しはじめまう。
1930-1950年頃のハイクラスのジュエリーに時々見られる仕組みです。
同時代のヴァンクリーフアーペルのブローチなどでも同じシステムが使われているのを見たことがございます。
裏面に刻印があり、フランスの18金の刻印に加えて「L」から始まる工房印が押されています。
思い当たるところはすぐには出てこないですが、しっかりとしたメゾンの製作であることは間違いありません。
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どこまでが「アンティーク」でどこからが「ヴィンテージ」なのか?
アンティークやヴィンテージという言葉はよく耳にしますね。
ではどこまでを「アンティークジュエリー」と呼び、どこからを「ヴィンテージジュエリー」と呼ぶのでしょうか?
「アンティークは100年以上たったもの」という定説はありますが、今日ではジュエリーに関しては1930年代のアールデコまでを含んで「アンティークジュエリー」と呼ぶのが一般的です。
1930年代と言いますと厳密に言えば100年を経ていないですが、ジュエリーの素材や製造過程、デザインがその時代特有のものか、量産を目的としたジュエリーか否かがアンティークとヴィンテージを分けるひとつの基準で、それが1930年代で分かれると考えられています。
それでは1940年以降のジュエリーに価値がないかというとそういう訳ではありません。
特に1940年代のジュエリーには戦火の迫る中、その時代にしかない特徴的なデザインで高く評価されています。
下記は1940年代を代表する指輪デザイン「タンクリング」です。
1940年代というと、第二次世界大戦を思い浮かべる人が多いようです。
ですので40年代ジェエリーというと、「戦争中にジュエリーなんて作っていたのですか?」と質問をされることがあります。
40年代ジュエリー(フォーティーズスタイル)とは正確に言うと、1939-1943年当たりに作られたジュエリーを指します。
1940年代はリングで特に特徴的なジュエリーが作られましたが、ピアスも大ぶりで磨き上げられたゴールドが鮮やかな華やかな作品が作られました。
1940年代のカクテルジュエリーと戦後エステートジュエリーに関して更に詳しい情報は1940年代のカクテルジュエリーと戦後エステートジュエリーをご参照ください。
アンティークエピソード集のページでは、様々なアンティークに関するエピソードをご覧いただけます。
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シェルシュミディで取り扱うアンティークジュエリーは、全てオーナーが直接フランス、イギリスを主としたヨーロッパで買い付けてきたものです。