ブルーサファイアとダイヤモンドで結ばれた贅沢なリボン
1890年頃、アールヌーボーが隆盛していた頃のフランス製。
この時代を代表するモチーフの一つがリボン。
ブルーサファイアとダイヤモンドがセットされた、贅沢なリボンです。
ブルーサファイアは合計15石。
現在の典型的なブルーサファイアの色よりやや淡いとても綺麗な色のサファイアです。
15石の中でやや濃い色のサファイアと淡い色のサファイアが混ざっていて、人工的に色を調整することがなかった当時ならではのとても自然な美しさ。
ダイヤモンドはローズカットにされていて合計10石。
リボンの裏側やカーブがかかりちょっと細くなったところなど、「こんなところに宝石が!」と驚くほど難しいところにまで宝石がセットされています。
またこれだけ宝石が密集しているにもかかわらず、台座裏側までとても綺麗な状態です。
台座の裏が四角くなっていて、ここらら光が差し宝石に綺麗に光が差すよう計算されています。
実はとても技術が必要なリボンモチーフのジュエリー
フランスではリボン結びのことを「Noeud(ヌー)」と呼ぶのですが、この時代にリボン結びの優れた指輪やペンダントが作られました。
リボン結びは、立体的で、実はジュエリーの中でも難しいモチーフです。
しなやかな曲線やアールヌーボーならではの造形美が、見事に発揮されています。
基本的にブローチですが、リボンの輪の部分にチェーンを通せば、ペンダントとしても使えます。
地金は18金ホワイトゴールド。
注:チェーンは付いていません。
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リボンの前身である「結び(ボウ)」のモチーフのジュエリーはなんと中世の末にまで遡ることができます。
17世紀頃まで、こうした結び目のジュエリーが、シルクなどの布で作れれていました。
フランス18世紀、リボン(蝶結び)は非常に人気のあるモチーフでした。
その後、特にイギリスで宝石やエナメルで作られたリボンモチーフのジュエリーが作られていきます。
現存する有名なアンティークジュエリーに、下記のフランス皇帝ナポレオン3世の妻、ウージェニー皇后(Empress Eugenie)のために作られた141カラットのダイヤモンドをあしらったボウブローチがあります。
この歴史的なジュエリーは1855年、パリの宝石職人Francois Kramer氏によって製作されました。
当初、ベルト用のバックルとしてデザインされたジュエリーを、ウージェニー皇后が宝石職人に命じてストマッカー(胸当て)に作り直させ、その後、1864年にさらにダイヤモンドで作られた房2本とペンダント5つが追加され、皇后のお気に入りの1品となったと言われています。
その後1900年前後のベルエポック時代にエレガントな蝶結びの美しいボウジュエリーが作られました。
下記は19世紀後期のイギリス製のブローチ。
杖(つえ)とリボン(ボウ)がモチーフです。
1920年代にはそうした貴族的なベルエポックのリボンジュエリーがより直線的に様式化したアールデコの特徴が出たリボンジュエリーが作られます。
下記は1920年頃の、アールデコ様式のリボンブローチです。
そして1940年以降、今度はもっとモダンに解釈された少し大柄なリボンジュエリーを見ることができます。
1950年代はクリスチャン・ディオールに代表される、新しい時代の流れを予感させる、女性らしくエレガントなシルエットがファッション界を席捲。
「ライン時代」と表現されるこの時代、リボンモチーフはジュエリーの世界に再び隆盛します。
下記はブシュロン社が1950年代に製作したリボンモチーフのブローチ。
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