Hans Hansen ハンスハンセンのサインドピース
ハンス・ハンセン(Hans Hansen)は1990年代にジョージ・ジェンセンに吸収合併されますが、こちらはハンセンがまだ独立していた頃のヴィンテージブローチです。
知名度はジョージジェンセンの方が高いですが、実は仕上げと質はハンスハンセンの独立時代の工房の方が手作業の比率が高く、質の高さに定評があります。
世界中にコレクターの多いデザイナーブランドです。
近年、確立した評価を得ているスカンジナビアのヴィンテージジュエリーのデザイナーの中でも、特に評価の高いハンスハンセンだけに、近年ますます手に入りづらくなってきています。
有機的なフォルムと、シャープなラインが同居
エピソードにも記載しましたが、ロンドンのヴィクトリア・アルバート美術館にこのブローチと非常に似たブローチが所蔵されています。
製作したのはやはり同時代に活躍したヘニング・ コッペル。
コッペルも後年やはりジョージ・ジェンセンのでデザイナーに就任します。
シンプルで、アンシメトリー。
このブローチに見られるような「有機的でピュアなライン、彫刻的な美しさ」は後にスカンジナヴィアデザインとして世界的に認知される、デザイン運動の始まりです。
鏡面に映る世界とシャープなラインがスリリングで美しいブローチ。
シルバーに反射する光を計算にいれた、優れた彫刻のような素晴らしいデザインです。
1960-1970年頃のデンマーク製。
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欧米の市場で一定の評価が定まっているヴィンテージジュエリーに、スカンジナビアを中心としたモデルニストの作家たちのサインドピースがあります。
代表的なデザイナーに、 Georg Jensen(ジョージジェンセン)、Hans Hansen(ハンスハンセン)、Hennng Koppel(ヘニング コッペル)らがいます。
N.E.FROM(Nils Erik From)は1908年にデンマークに生まれたシルバー職人です。
1931年のわずか23歳で自らの工房を持ちます。
以降40年に渡り、デンマークを牽引するデザイナーとなります。
キャリアの前半は葉や花のボタニカルモチーフを半貴石を用いて手掛けています。
これらはフランスのアールヌーボーやイギリスのアーツアンドクラフツから発展した、デンマーク版のアールヌーボー運動と見られています。
フロムのデザインは1950年頃から、急激に変化します。
それまでの自然からインスピレーションを受けた有機的なラインや、ロマンチックな自然モチーフのデザインは消えていきます。
その代わりに、端正でジェオメトリックで抽象的なシルエットのジュエリーを生み出します。
下記は当店扱いのN.E.FROM(フロム)、1950年代の作品です。
自然界からは相変わらずインスピレーションを受けますが、抽象的にデザイン化したものが主流になっていきます。
ミニマリスト的なデザインプロダクションの始まりで、この頃のフロムのジュエリーデザインがもっとも評価が高いです。
下記はHennng Koppel(ヘニング コッペル)が1950年頃に製作したブローチです。
このシルバーブローチはイギリスのヴィクトリア&アルバート美術館に所蔵されています。
下記は当店扱いのほぼ同時代のハンスハンセンのシルバーブローチです。
へニング・コッペルもハンス・ハンセンも同時代にジョージジェンセン社のために働いたデザイナーです。
シンプルで、アンシメトリーな有機的なフォルム、彫刻的な美しさ。
これらがその後、「スカンジナビアスタイル(北欧デザイン)」と呼ばれるようになる、非常に革新的なデザインの始まりです。
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