色、艶、カッティング、圧巻のペルピニャンガーネット
仕入れる度にすぐ売り切れて、問い合わせがやまないペルピニャンガーネットのジュエリー。
フランス南西部ペルピニャンでかつて採れた非常に明度の高い、明るい色のガーネットは一説にはルビーより価値があったとか。
フランスのアンティークジュエリーでしか見ることがないので(もしかしますと当時、スペインにも相当量輸出されていましたので、スペインのアンティークジュエリーにも用いられている可能性がありますが市場ではまず見ないです)、ロンドンのディーラーさんはキャリアの長い方でも知らない方が多く、一度見せたところ「何て美しいガーネット!」と感動されていました。
一般的にペルピニャンガーネットはラウンドカットにされて使用されることが多いのですが、このブローチでは三つ葉の形にあわせて、かなり縦長のオーバルにカットされています。
長さがある分、石の底から深紅の色がより一層鮮やかに煌きます。
ペルピニャンガーネットの中にも、オレンジが強く出たもの、少し紫帯びたもの等、色には少し幅がありますが、このブローチの赤色の明度は素晴らしいです。
これだけ美しい赤色の宝石は、他にないのではないでしょうか。
珍しい三つ葉クローバーのモチーフ
ペルピニャンガーネットのアンティークジュエリーは、実はデザインに関してはあまりバリエーションは多くありません。
地理的にもパリから遠く離れているため、19世紀を通じて刻々と変化するファッションの影響を
あまり受けずに発展します。
市場に流通するペルピニャンガーネットのジュエリーは19世紀初頭ー20世紀初頭に製造されたと推定できますが、デザインだけでは製造された時代を特定するのは難しいほどです。
そうした中、このブローチは珍しい「三つ葉」をモチーフにしたデザインで希少です。
三つ葉のデザインを作るために、ペルピニャンガーネットを縦長のオバールの形にカッティングしていますが、これもほぼ真円のラウンドカットが主流のペルピニャンガーネットにおいて例外的です。
縦に長さがある分、色の美しさが一層引き立ち、実に美しいブローチです。
19世紀のフランス製。
18カラットゴールド。
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イギリスのでもフランスでもアンティークジュエリーでもに使われているガーネットの大半がボヘミア産。
ボヘミアンガーネットはちょっと黒っぽい赤色をしており、アンティークガーネットと言うとそのイメージを強くお持ちの方も多いのはないでしょか?
しかしペルピニャンガーネットの用いられたアンティークジュエリーを見れば、そのイメージは払拭されるはずです。
ペルピニャンガーネットとは、フランス南西部ペルピニャン地方で産出されていた希少な美しいガーネットのことです。
カタランの文化歴史を象徴する宝石で、その歴史は1750年に遡ります。
ペルピニャンガーネットが採掘されたのは、18世紀半ばから1920年代にかけてです。
鉱山からガーネットが採掘されることはもうありません。
ペルピニャンガーネットは、深いピンクがかった赤ワイン色をしており、同じサイズのルビー以上の価値があると言われるずば抜けた宝石です。
昔から数は少なく、フランスアンティークジュエリーにしか(しかもそのほんのごく一部)存在しません。
フランス現地でもやはりアンティークでしか手に入らないペルピニャンガーネットは、まさに幻の石です。
まさにフランスのアンティークジュエリーに限定された美しいアンティークガーネットです。
下記は当店で数年前に販売済みのペルピニャンガーネットのピアスですが、いまだに多くお問い合わせを頂きます。
ペルピニャンガーネットのセッティングは、この地方独自のもので、「ペルピニャンセッティング」と呼んだりします。
石の下をゴールドで閉じます。
ガーネットそのもののカッティングも独特で、石が閉じられているので見にくいですが下は平らで、上にたくさんのファセットをつけています。
パピヨンと呼ばれるヴェルメイユの破片をガーネットとゴールドの間にいれて、美しい反射を起こすこともあります。
ペルピニャンガーネットは、真っ赤のものから、ピンク帯びた赤、ワイン色がかった赤と複数の色があります。
いずれの色もボヘミアンガーネットよりずっと明るい色調の赤が特徴的です。
下記のリングでは、真っ赤なペルピニャンガーネットとピンクを帯びたガーネットの両方が用いられていますが、どちらもボヘミアンがーネットにはない明るい色調です。
ペルピニャンガーネットが生まれたペルピニャンという街はフランス南西部の都市です。
ペルピニャンの歴史は極めて古く、ローマ時代から人が定住していたといわれています。
中世になってペルピニャンの街の建設が始まり、1276年から1344年までは、マヨルカ王国の王国の首都として栄えます。
時代の中でマヨルカ王国に組み込まれたりバルセロナ伯領となったり、過酷な歴史を生きつつも、いつの時代もペルピニャンは複数の文化が入り乱れる工芸品の中心地でした。
ジュエリーもパリを中心としたジュエリーとはまた異なる味わいのジュエリーが作られました。
一つにはこの地域は鉱物的に非常に豊かな地域であったからです。
古くは銀、ゴールド(共に閉山しています)、そして宝石ではガーネットが産出され、この地域においてジュエリーは一大産業でした。
そしてその主役がガーネットでした。
ペルピニャンガーネットの一部はスペインに運ばれかの地でジュエリーにされたものもありました。
これはやはりスペイン国境の約20キロに位置する地理的要因も大きかったことでしょう。
「ペルピニャンガーネット」と言う呼称は産地による呼称であり、いわゆる鉱物名ではありません。
産地を取って「カシミールサファイヤ」と呼ぶのと同じロジックです。
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