定番の真珠のピアス
かつてよく見つけることができた、フランスアンティークジュエリーの定番の一つがこのような真珠のゴールドピアスです。
綺麗なオフホワイトの美しい真珠は、ハーフパールにされています。
これだけの年月を経ても退色していないところが、当時の天然真珠ならではです。
上部の留め具へとつながる部分に小さなダイヤモンド。
耳たぶの後ろから前に向けて針を通すドルムーズ(スリーパーズ)タイプのピアスです。
以前はよく仕入れていたタイプのピアスなのですが、昨今は良い状態の物を見つけると驚くほど効果で昔を知っているだけに仕入れることができずにいました。
久しぶりの入荷です。
シリアル番号入りのピアス
真珠は8つのゴールドの爪で抱え込むようにセットされていますが、実際には爪は飾りとしての要素が強いです。
といいますのも真珠は底部からゴールドで突き刺すようにセットされているので、このタイプのピアスでもこのようなセッティングは珍しいです。
繊細なゴールドのセッティングは、横から見ると真珠全体が見える作りになっています。
面白いのはピアスの片側に「3293」と言うシリアル番号が刻まれていることです。
通常フランスのアンティークで押される刻印は貴金属の刻印のみです。
時々工房印も押されることがありますが、シリアル番号は少ないです。
シリアル番号は当時のハイクラスのジュエリーに押されることの多かったので、このような小ぶりのピアスで押されているのはとても珍しいです。
自体も旧式でとても雰囲気があります。
当時の定番的デザインですが、一流の工房が手掛けたのでしょう。
19世紀後期のフランス製。
18カラットゴールド。
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ハーフパールとは、真円真珠を半分にカットしたもの。
真珠の種類ではなく技法のひとつです。
基本的にはアンティークジュエリーでしか見つけることができない宝飾技術です。
養殖真珠が作られ始める前、真珠は現在では考えられないほど稀少な存在でした。
天然真珠があまりにも高価なものだったため、真珠を2つにカットしてジュエリーに用いられました、それがハーフパール(ハーフ真珠)です。
ブローチ等の場合、真円真珠は穴をあけて接着剤を付けて針に刺してセットしますが半円真珠の場合はそれが出来ないため、小さな爪で留めてセッティングを行います。
真珠をカットするだけでも大変な技ですが、それを留めるには更に高度な技術を要します。
最近では「アンティーク風」のものが流行しており、稀に「ハーフ真珠」と唄っている商品を見ることがありますが、アンティークジュエリーで見つかる天然真珠のハーフパールとは別ものです。
質の良いハーフ真珠がアンティークジュエリーでしか存在しないその理由は主に3つ挙げられます。
1)天然真珠を真二つにカットするということは(もちろん手作業でやります)、とても高度な技術を要します。
真珠は硬度はそれほど高い宝石ではありませんし、自然の産物である天然真珠はそもそも完全な真円ではないですからなおさら難しいです。
2)何十年、何百年と持つようなハーフパールをセットするのが、至難の業だからです。
円形の真珠であれば穴を開けて針を刺すということができます。
これも非常に難しい技術ですがハーフパールの場合はそれができないため、すべて爪で留める必要があります。
天然真珠は小ぶりのものが多いですから、その一粒ずつを全て小さなゴールドの爪でセッティングする必要があるのです。
3)アンティークジュエリーの良質なハーフカット真珠は100年経ても退色しません。
現代の養殖真珠ですと、真珠の大方は人工的な核ですから、当然半分などにしてしまえばほどなくして退色が始まってしまうでしょう。
本物のハーフ真珠は、良質な天然真珠と、当時の高度な宝飾技術の両方があってようやく出来るものなのです。
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