珍しい色石のアンティークスタッドピアス
シンプルな一つ石のスタッドタイプのアンティークピアスは、当店でも最もリクエストを多く頂くアイテムです。
アンティークピアスはデザインが豊富で、モチーフが長く垂れたドロップタイプのピアスも多いです。
これは現地のディーラーさんにも言われたことなのですが、日本女性の需要が特に強いのは、こうした耳たぶにピッタリフィットするタイプのスタッドタイプのピアスです。
華美になりすぎず、職場などに着けていただくのにぴったりだからでしょう。
しかしながらこうしたスタッドタイプのピアスは、アンティークピアスの中で少数派で、数としては出てこないです。
特に色石のスタッドピアスは、珍しいです。
シンプルでありながら、実は出会うことが少ないアンティークピアスです。
身に着けたときの美しさが格別
正面から見ますと、ガーネットをゴールドの枠が薄く覆っているだけで、ほぼガーネットしか見えないので、美しく映えます。
シックな赤色は肌色を明るく、そして上品に見せてくれます。
直径が約7ミリと決して大きくはないピアスですが、深紅のガーネットの色ゆえに存在感があります。
クローズドセッティングになっていて、ガーネットを丸く包み込んだ、ころんとしたゴールドの台座がいかにもアンティークらしいです。
またガーネットの下部の台座の側面には、さりげない彫金が施されていてこうしたところも味わいがあります。
オリジナルのキャッチはお花の形をしています。
くるくるとこのお花の台座を回転させることで、開閉が出来る仕組み。
9番目と10番目お写真は、現代のシリコン製のキャッチ(中の金色の部分は18カラットゴールドが入っています)をつけた写真です。
このピアスにサイズもピッタリのものを工房で見つけてもらいました。
オリジナルのキャッチと共にこちらの現代もののシリコンキャッチもお付けしますので、お使い分けください。
18カラットゴールド。
このように非常に軽量なゴールドのジュエリーの場合、刻印が押されないケースも多いですが、キャッチの裏面にフランスの18カラットゴールドの証である馬の刻印が押されています。
馬の刻印は、鷲の刻印より前の時代から存在した18カラットゴールドの刻印で、刻印だけで古い時代のものであることが分かります。
19世紀前ー中期のフランス製。
小さな写真をクリックすると大きな写真が切り替わります。
ガーネットは、アンティークジュエリーで最も重用されてきた宝石の一つです。
ガーネットには古くから色々な言い伝えがあります。
その中で最も古いのが、「ガーネットはノアの箱舟の灯として使われて、暗闇を照らした」という伝説。
ガーネットの深く赤い石は、古代から疫病に強い効力があると信じられてきました。
古代エジプト人及びローマ人は血液関係の病気の治療にガーネットを使ったそうです。
中世ヨーロッパではガーネットを持つと友情に恵まれ、権力の座につくとされ、支配者層に好まれました。
ガーネットには暗闇でも見通せる、ガーネットを身につけることで洞察力が増すと信じられてきたのです。
ガーネットがジュエリーの表舞台に出はじめたのは18世紀初頭からです。
下記は18世紀のガーネットを用いたフランス、ヴァンデ地方の指輪です。
アンティークジュエリーにおいて、ガーネットほど様々なジュエリーに用いられてきた色石はありません。
硬度が6.5-7.5と比較的高くカラーバリエーションも豊かなガーネットはある時は指輪、ピアス、ブレスレット、そしてカメオやインタリオなどにもされてきました。
(デマントイドガーネットの硬度がおよそ6.5、ロードライトガーネットの硬度が7.5です)
宝石としては十分な硬度がありながらダイヤモンドやコランダムまでは硬くなく、彫り物も可能ということで、ガーネットは細工もののジュエリーにも重用されました。
下記はガーネットにインタリオが施された指輪です。
なぜガーネットと言う一つの宝石で硬度に幅があるのかと言えば、「ガーネット」と言う名称が複数の石のグループの総称で、その中に4つの異なるグループが存在するからです。
その4つとは下記になります。
1)ワインレッドに代表される「アルマンディンガーネット」
現在では、良質なアルマンダインガーネットは滅多に見ることがありません。
2)ルビーに似た鮮やかな赤色の「パイロープガーネット」
パイロープとはギリシャ語で「火の目」という意味です。
チェコスロバキア西部(元オーストリア領)にあるボヘミア地方では中世よりこのような火の目のような深紅色のパイロープが採掘されていました。
3)紫赤ー褐赤色の「ロードライトガーネット」
アンティークジュエリーで見られるガーネットの中で最も多いのがロードライトガーネットです。
ロードライトとは、「バラの花のような」という意味で、この意味の通り、やや紫がかった赤色をもつガーネットです。
バラに近い、紫がかった印象的な赤色のものが高い評価を受けています。
また、透明度も非常に重要視されています。
主な産出国は、タンザニア、マダガスカル、スリランカなどです。
特にスリランカ産は、バラの花を想わせる良質な石が産出されたことで知られています。
4)美しいオレンジ色の「スペサルティンガーネット」
この種のガーネットはアンティークジュエリーではほとんど見ることがありません。
現在では色の調整が行われていますから(アンティークガーネットで見られたような良質のガーネットが現在では枯渇しているため)、これほどカラーバリエーションがあるのはやはり昔の天然無加工だからです。
ピンク色のガーネット
18世紀には特にピンク色のガーネットが、19世紀には明るい赤色の華やかなガーネットがもてはやされました。
シックな色調が魅力的なピンク色のアンティークガーネットは、その大部分が18世紀のヨーロッパで採られました。
この時代であってもピンク色のガーネットはとても産出量が少なく、小さくカットされて大切に使われました。
柔らかいピンクの色は、当時の照明のろうそくの下で、ダイヤモンドの煌めきと同じような光り方をするものが好まれたそうです。
下記はジュエリー自体は19世紀初頭に作られていますが、その色調から判断してピンク色を帯びたガーネットの石そのものは、もっと古い時代のものと推定できます。
ガーネットの産地
ヨーロッパのガーネットの産地というと、ボヘミア(現在のチェコ共和国あたり)のイメージが強いと思いますが、フランスでもガーネットは産出されました。
中でも「ペルピニャンのガーネット」はその質の高さで有名で、色調の明るい赤色がその特徴です。
ペルピニャンは、ピレネー山脈ぞいの、フランス南西部の地中海沿岸の町です。
「ペルピニャンガーネット」については、より詳しく記したエピソードがございますのでご参照ください。
ペルピニャンガーネットとフランス南西部のアンティークジュエリー
現在市場に出回っているガーネットのほとんどはフランス産でもボヘミアのものでもなく、タイ産がほとんどです。
ガーネットと記念日
ヨーロッパには、そんなガーネットを記念日に贈る習慣もあります。
まず結婚18周年。
ガーネットの宝石言葉は「貞操」。
そこから変わらぬ愛を届けるという意味で、この習慣が生まれたのでしょう。
そして初めての記念日。
またヨーロッパでは、最初に子供に与える宝石としてガーネットが贈られることが昔から多いです。
これはガーネットの持つ勤勉な力、人生に忠実であってほしいという両親の願いからでしょう。
アンティークエピソード集のページでは、様々なアンティークに関するエピソードをご覧いただけます。
アンティークリング、アンティークネックレス、アンティークピアス、アンティークブレスレット等、希少なヨーロッパのアンティークジュエリーを随時100点以上揃えています。
シェルシュミディで取り扱うアンティークジュエリーは、全てオーナーが直接フランス、イギリスを主としたヨーロッパで買い付けてきたものです。