淡いライラック色のアメジスト
19世紀中ー後期のフランス製。
アンティークジュエリーに使われているアメジストの色は、現在の所謂「アメジスト色」と比べて淡く感じるか、濃く感じるか、どちらかのことが多いです。
これは当時のアメジストが、現代のアメジストと異なり熱処理などが施されていない天然無加工のものであったからです。
このピアスの淡いライラック色のアメシストはアンティークのアメジストを代表する色の一つです。
淡く、薄っすらピンクを帯びたような美しい色。
状態とクオリティーも非常に良いアメジストです。
石の内側を全て映し出すような透明感、とろけるような艶。
ファセットに光が当たると、水が滴るような潤いを見せます。
これだけ美しいアメジストは当店もとても久しぶりの扱いです。
オーソドックスでいて華やかな金細工
全体はオーバール形で、アメシストをなるべくシンプルに活かそうという意匠が感じられます。
オーソドックスに見えるデザインですが、アメジストの台座の真ん中あたりにゴールドを捻るようにして、石の周りをデコレーションしています。
正面から見るとこの金細工が、アメジストの額縁のように見えるようになっています。
シンプルなようでいてレベルの高い金細工がさり気なく施されています。
さり気ない装飾、そしてシンプルなデザインが飽きの来ない、ありそうでないアンティークアメジストピアスです。
地金は18金ゴールド。
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アンティークジュエリーでは宝石のセッティングに特徴のあるものがいくつかあります。
代表的なものに「覆輪(フクリン)留め」が挙げられます。
「覆輪(フクリン)留め」とは、筒状の台の中に石を入れて縁を倒して石をセットする留め宝石のとめ方です。
「覆輪(ふくりん)留め」は爪の引っ掛かりが少なく、石も外れにくいという利点があります。
一方、「覆輪(ふくりん)留め」にされた宝石は、アンティークディーラーには頭が痛い面もあります。
ボリュームのある宝石で、宝石をメインな価値になるアンティークジュエリーの場合、鑑定をしたいのがやまやまなのですが。
宝石を鑑定をする場合はその宝石を台座から外して、裸石(ルース)の状態にする必要があります。
「覆輪(フクリン)留め」のような回りから囲い込んでセッティングされた宝石の場合は、宝石を外す時にダメージは必ず出てしまうものですので、鑑定をするというのは大きなリスクを背負うことになります。
現代では比較的大きめのサイズの石に用いられる事が多いようですが、アンティークジュエリーでは、小さな石のセッティングにも頻繁に用いられています。
また現代では、カボションカット(カット面のない丸い状態の石)の石に使われることが多いようえすが、アンティークジュエリーではファセットカットされた石にも好まれて使われた技法です。
筒状の台の中に石を入れて縁を倒して石をセットするには技量が要りますので、現在では採算性を考え、小さい石に施すことは難しいのでしょう。
「覆輪(フクリン)留め」は、コレットセットとも呼ばれることがあります。
アンティークエピソード集のページでは、様々なアンティークに関するエピソードをご覧いただけます。
アンティークリング、アンティークネックレス、アンティークピアス、アンティークブレスレット等、希少なヨーロッパのアンティークジュエリーを随時100点以上揃えています。
シェルシュミディで取り扱うアンティークジュエリーは、全てオーナーが直接フランス、イギリスを主としたヨーロッパで買い付けてきたものです。