推定カルティエ製のパンテールリング
パンテール(フランス語で「豹」)をモチーフにしたリング。
獰猛な表情としなやかな肢体のネコ科の動物です。
パンテールと言えば、カルティエ(Cartier)のアイコン。
1914年にルイ・カルティエがこの伝説の動物をカルティエ流にアレンジし、ジャンヌ・トゥーサンが、引き継ぎます。
「Cartier」のサインが入っていないで保証はできませんが(お値段もサインが入っていないことを前提にした価格ですのでご了承ください)、可能性は非常に高いです。
少し消えかかってはいるものフレーム部分にひし形の工房印が入っています。
「CP」と読めますが、やはり昔のカルティエの工房印と合致します。
「パンテール ドゥ カルティエ」」は今も作られ続けているカルティエのアイコンですが、かつてのような職人技、細工の細かさは今のパンテールリングには見られません。
肉厚でマットなゴールドで、滑らかでしなやかな肢体がダイナミックに描かれています。
触れるとその心地の良いこと。
非常に重さもあるリングで、並みならぬ肉厚のゴールドからも非常にハイクラスの作品であることが分かります。
リング全体がパンテールになっていて、ひと回りして口(牙)のところに戻る大胆なデザインです。
パンテールは誇り高き女性の象徴として作られたリング。
そんなことを改めて思わせてくれるデザインです。
目はエメラルドがお決まり
目はエメラルドです。
そして凝っていることに、耳のあたりと口元(牙)の部分にはうっすら黒エナメルの跡が残っています。
現代のパンテールリングにはない、ここまでの作りこまれ方はないです
ゴールドの造形でリアリスティックな鼻部分を作りこんでいて、2つの鼻の穴まで芸術的です。
年代的にははっきりはしませんが、1920-1940年ぐらいの作品と思われます。
フランスの18金の刻印も押されていますが、やはり旧式の刻印が押されています。
パンテールリングでもこれだけ時代を遡るものは少なく、もっと後年の正直あまり美しくないヴィンテージのパンテールリングさえオークションなどで驚くほど高価に販売されています。
パンテールの首回りにダイヤモンドの帯。
20世紀前半のフランス製。
18カラットゴールド。
指輪サイズは10号(サイズ直しは可能ではありますが、工房印もフレーム部分に入っており大きなお直しは避けた方が良いです)
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カルチェ(Cartier)は、1847年にフランソワ・カルティエによってオープンした老舗のフレンチジュエラーです。
カルティエの最秀作はベルエポック期のプラチナジュエリーと、アールデコ期の時計とハイジュエリーだと言われています。
カルティエのすごさ、それは常に時代の一歩先を読んでいたところです。
例えば1900年頃、フランスでアールヌーボーが一世を風靡していた頃、カルティエはガーランドスタイルを先取りします。
そして1910年頃、ガーランドスタイルがやはり人気を博すと今度はアールデコを先取りするのです。
(カルティエがアールデコ期に製作したジュエリーの地金のほとんどはプラチナ、そしてプラチナは他のメゾンや工房より10年プラチナを早く取り入れていることでも知られています)。
下記は1930年にカルティエNY製作の花かごのブローチ。
ダイヤモンド(バゲットカットとブリリアントカット)にロッククリスタルとムーンストーンと言う白と透明色の色の組み合わせもまたアールデコならではの色彩です。
やはりアールデコ期、1933年製作のカルティエ社の珊瑚とダイヤモンドのバングル。
効果的な紅色の珊瑚の使い方、幾何学的でダイナミックなアールデコのデザインはいずれもカルティエ社の十八番です。
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下記は当店扱いの「漆(うるし)」を用いた当時のカルティエの化粧コンパクトです。
黒漆(ブラックラッカー)はアールデコ期にこのように額縁のように重用されました。
ギロッシェエナメルも得意としました。
下記は当店扱いのカルティエのボタン、推定1920年頃。
下記は当店で販売済みのちょっと珍しいカルティエのブローチ及びクリップです。
当時の非売品で勤続10年、20年、30年、35年の記念に当時の従業員に与えられて物です。
同じディーラーさんが、同じ方から入手したそうです。
下記も量産品ではない珍しいジュエリーです。
カルティエのメダル(メダイユ)で、製作されたのは1968年。
カルティエは、世界の様々な国に展開をしていきます。
下記はカルティエUSAの製作のヴィンテージのブローチです。
カルティエはまた近年では文化技術促進の活動も積極的に行っています。
先日はモナコ公国王妃を描いた「グレース・オブ・モナコ」で撮影に協力をしました。
モナコ公国の同意のもと、ダイヤモンドの婚約指輪やモナコ王妃が実際に所有していた「カルティエ」の5つのジュエリーをアトリエで完璧に複製。
また、パリのリュ・ド・ラ・ペ13番にある「カルティエ」のブティックが映画で出てくる他、パス・ベガやティム・ロスなどの出演者もさまざまーンで「カルティエ」のアイテムを身に着けます。
グレース・ケリー役のニコール・キッドマンがこれらのジュエリーを身につけています。
アンティークエピソード集のページでは、様々なアンティークに関するエピソードをご覧いただけます。
アンティークリング、アンティークネックレス、アンティークピアス、アンティークブレスレット等、希少なヨーロッパのアンティークジュエリーを随時100点以上揃えています。
シェルシュミディで取り扱うアンティークジュエリーは、全てオーナーが直接フランス、イギリスを主としたヨーロッパで買い付けてきたものです。