希少なフィヤージュのジュエリー
1910年頃のフランス製。
初期アールデコの特徴を持つ、「葉」をモチーフにしたブローチです。
フランス語で「フィヤージュFeuillage(葉と葉の付いた枝)」と呼ばれる、アンティークジュエリーを代表するモチーフの一つです。
銀製の枠組みの中で自由に伸びる葉と枝。
まるで絵画のようにしなやかに伸びるラインを見ていると、「銀」と言う硬い素材で出来ているということが信じられなくなってきます。
葉のありとあらゆる場所、特にその先端部分にダイヤモンドが配されています。
数えるのが困難なほどダイヤモンドが散りばめられていますが、軽く30石は超えています。
奥ゆかしい煌きのダイヤモンドが、銀の粒金細工と絶妙に混じり、まるで葉っぱの上の朝露のようです。
個性豊かなアンティークジュエリーにおいても、これだけ曲線が自由に伸びた独創的なフィヤージュ(feuillage)のジュエリーは初めて取り扱います。
ジュエリーであるのと同時に芸術品でもある。
まるで一つの絵画、あるいは版画をみているような気になってくるジュエリーです。
銀で描き出す陰と陽のシルエット
存在感のある地金は銀で、手にするとかなりずっしりとした重量感があります。
この時代になりますと、ホワイト系のジュエリーの地金にはホワイトゴールドを使うことが多かったので、珍しいです。
外枠は厚みをたっぷり出し、内側のフィヤージュは銀を厚くしたり細くしたり、自由自在に厚みを変化させています。
先端に行くほど絞って細くしてみたり、そしてその先はまた少し太くして内側にダイヤモンドをセッティングしたり。
筆のような自由なラインを、銀と言う素材で描いています。
おそらく別にこうした銀のラインを作り、それから枠内にセッティングしていったのでしょう。
ラインの強弱だけでなく、横から見ると分かりやすいですが高低も豊かです。
年月を経た銀のしぶみが、シルエットに陰影を与え、どこか影絵、切り絵に通じる美しさです。
この時代ジャポニズムが席巻していましたから、その影響も受けているのでしょう。
フィヤージュと言う非常にフランス的なモチーフでありながら、親近感も感じます。
着物などの和装にも合いそうです。
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19世紀のアンティークジュエリーの一部に、自然主義(ナチュラリズム)と呼ばれる、花やフルーツをモチーフにしたジュエリーが見られます。
もともとこうしたロマンチックなジュエリーの流行は、19世紀の初頭に遡り、その流行は数十年の間続きます。
1820-1830年頃に流行したロマンチックジュエリーはその特徴として、小さくそして繊細です。
これらが19世紀の半ばにかけてもっと大きく、そして構造が複雑になっていきます。
自然主義のジュエリーが当時、一世を風靡した理由は、まず何と言ってもデザインが可愛らしいこと。
そしてお花や葉の形をしたジュエリーが着けやすかったこと、そしてこの時代にガーデニングへの熱狂があったからです。
新しいエギゾティックな植物がヨーロッパにもたらされ(このことは前世紀から続いていたことですが)、19世紀の間中ずっとガーデニング熱が下火になることはありませんでした。
19世紀の半ばに特に好まれたのは薔薇、フクシア、西洋菊、ダーリア、そして新たにパンジーが加わります。
これらはそのままジュエリーのモチーフにもよくされました。
特定の花には特定の意味が込められて、このようにしてジュエリーは高貴さや感情のシンボルにもなりました。
例えば忘れな草に込められたメッセージは「真実の愛」、百合なら「幸せの再来」、アイビーは「友情や誠実」といったようにです。
このようにしてお花がモチーフになったナチュラリズムのジュエリーは、贈り物トしても好まれました。
またアンティークブローチなどで時々見かけるモチーフに「フィヤージュ」があります。
フランス語「フィヤージュ(Feuillage)」から来ています。
「葉と葉の付いた枝」という意味で、アンティークジュエリーを代表するモチーフの一つです。
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