一枚一枚のシダの葉にセッティングされた美しいダイヤモンド
19世紀前半のフランス製。
アンティークジュエリーの中でもお探しの方が多い(そして実際はなかなか出てこない)シダの葉がモチーフになったブローチです。
流れるように美しく伸びた枝、そして枝の左右に広がる幾多もの葉。
連続する細長い葉の一枚一枚に、一粒ずつダイヤモンドがセッティングされています。
どのダイヤモンドもローズカットされていて、いずれも美しく光輝いています。
全体が銀でできており、経年変化により渋みを増した銀と光り輝くダイヤモンドの「光と影」の対比が非常に美しいです。
「ローズカットダイヤモンドは輝かない!」は嘘です
ローズカットダイヤモンドは、後年に出てくるオールドヨーロピアンカットや現代のブリリアンカットに比べて、光を反射する面が少ないので落ち着いた輝きになるのですが、それでも昔の良質のダイヤモンドは輝きます。
「ローズカットだから輝かない」というのは言い訳で、やはりアンティークジュエリーでも良いものは輝くのです(その輝き方が異なるだけです)。
このブローチに使われたダイヤモンドはカット自体は19世紀前半のものなのでかなり無骨さが残っていて、ファセットは少なくやや扁平なローズカットになっています。
18世紀や19世紀前半のローズカットに特有のカッティングで、味わいがあります。
こうしたラフなカッティングでこれだけローズカットダイヤモンドが輝くのですから、やはりダイヤモンドそのものが非常に優れているのです。
裏側は銀の上に金を塗ったヴェルメイユになっていて、針部分は18Kゴールドです。
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19世紀のアンティークジュエリーの一部に、自然主義(ナチュラリズム)と呼ばれる、花やフルーツをモチーフにしたジュエリーが見られます。
もともとこうしたロマンチックなジュエリーの流行は、19世紀の初頭に遡り、その流行は数十年の間続きます。
1820-1830年頃に流行したロマンチックジュエリーはその特徴として、小さくそして繊細です。
これらが19世紀の半ばにかけてもっと大きく、そして構造が複雑になっていきます。
自然主義のジュエリーが当時、一世を風靡した理由は、まず何と言ってもデザインが可愛らしいこと。
そしてお花や葉の形をしたジュエリーが着けやすかったこと、そしてこの時代にガーデニングへの熱狂があったからです。
新しいエギゾティックな植物がヨーロッパにもたらされ(このことは前世紀から続いていたことですが)、19世紀の間中ずっとガーデニング熱が下火になることはありませんでした。
19世紀の半ばに特に好まれたのは薔薇、フクシア、西洋菊、ダーリア、そして新たにパンジーが加わります。
これらはそのままジュエリーのモチーフにもよくされました。
特定の花には特定の意味が込められて、このようにしてジュエリーは高貴さや感情のシンボルにもなりました。
例えば忘れな草に込められたメッセージは「真実の愛」、百合なら「幸せの再来」、アイビーは「友情や誠実」といったようにです。
このようにしてお花がモチーフになったナチュラリズムのジュエリーは、贈り物トしても好まれました。
またアンティークブローチなどで時々見かけるモチーフに「フィヤージュ」があります。
フランス語「フィヤージュ(Feuillage)」から来ています。
「葉と葉の付いた枝」という意味で、アンティークジュエリーを代表するモチーフの一つです。
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