アンティークダイヤモンドピアス(黒エナメル、18金ゴールド)

愛らしい19世紀南仏のダイヤモンドピアス 希少な地方ジュエリーで、19世紀の南仏の作品です。
メインモチーフのは花の形になっていますが、この部分の高さのある独特なシルエットに南仏のジュエリーの特徴が出ています。
お花の下のゴールド部分も、他に見ない特徴的なデザインになっています。
短く伸びて、そのまま終わってしまったような面白い形もやはりパリを中心にしたジュエリーには見られない特徴です。
花の形をしたモチーフの真ん中に小粒のダイヤモンド、その上に3つの均一なダイヤが埋め込まれています。
この3つの覆輪留めされたダイヤの周囲には、肉眼では見逃してしまいそうなミルグレインが施されていて、その細かさに驚くことでしょう。
ダイヤモンドの周りの黒いエナメル使いに注目 ダイヤモンドの周りには、少し薄くなってきてしまっていますが黒いエナメルが入っていたことが分かります。
この黒色がまるで絵の額縁のように、ダイヤに深遠な美しさを与えています。
このようにモチーフの底部にのみ黒エナメルを入れるのも、当時の南仏のジュエリーで見られる特徴です。
古い時代の南仏のクロスなどでも同様の装飾が見られます。
留具の状態もよく、装着した後に後ろの金具にきちんとロックすることができます。
18金ゴールド。

  • 幅:8mm 
    高さ:28mm 
    重量:2.3g
    商品の状態:良好
  • 販売価格:売り切れました。

アンティークダイヤモンドピアス(黒エナメル、18金ゴールド)

  • 全体のシルエット。独創的なのにとてもバランスの良いピアスです
  • お花モチーフの黒いエナメルのおかげで、装着時に陰影が出ます
  • 少し無骨なお花とその下のゴールドのモチーフ、見たことのない珍しいデザイン
  • 上部3つのダイヤモンド周りに施されたミルグレインが綺麗です
  • 後ろから見たとき。針をきっちりとロックすることができるので、安心
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アンティークエピソード

地方ジュエリー ビジュードプロヴァンス(南仏 ビジュードプロバンス)

フランスのアンティークジュエリーの大半は、パリを中心とした貴族社会を中心に展開します。
しかし地方特有の特徴が見られるジュエリーもあります。

地方ジュエリーと中央のジュエリーとの発展とは大きな違いがあります。
それはパリを中心にしたジュエリーは常に、貴族社会から展開していること。
一方で地方のジュエリーは17世紀までは貴族の装飾様式を模しながら、既に18世紀初頭からその地域特有の発展を見せ、その地域の有力な商家がその主役になっているところです。
そうした意味でいわゆる貴族的なソフィストケートとはまた異なった魅力を持ちます。

下記はプロの中で「良書」として長く愛好されてきたフランスの地方ジュエリーに関する本ですが、残念ながら今は廃盤です。
(フランスは歴史的に中央の政治戦略が強く、地方特有の衣装や装飾品は、長年あまり研究の進まなかったという側面を持っています)。

表紙になっているのはMariette Dayreの肖像画(1860年)。
南フランス、アルルのアルラタン博物館に所蔵されています。
この地域特有の衣装と、ソートワール(ロングネックレス)に3連になった短いネックレス。
大きめのイヤリングピアスにブローチ、髪飾りと当時のアルル地域の貴婦人のジュエリーを今に伝えてくれる絵画です。

Mariette Dayre

地方ジュエリーがもっとも豊かにみられるのは南仏(プロバンス、プロヴァンス)です。
南仏には特有の文化や衣装が発達し、経済的に豊かな場所でした。
この地域で作られたジュエリーを「ビジュードプロバンス(bijoux de provence)」と呼びます。

南仏と言っても広いのですが、いわゆる「プロヴァンス地方」の西のエリア。
特にフランスの中央から独立していた時代も長く経済的に豊かであったアルル( アルルはフランスではおそらく唯一、少量ながらダイヤモンドが採掘された地域でもあります)、あとは港を持ち地中海貿易の中心地として発展したマルセイユ、プロヴァンス公国の首都であったエクサンプロヴァンスです。

この地域では、既に16世紀に「地域特有の衣装」が作られ始め、18世紀の後半には定着します。
ジュエリーは、必ず衣装(コスチューム)と共に発展するため、フランスで地方特有のジュエリーが生まれる可能性を最も多く持ったのがこのプロヴァンス地域でした。
地方ジュエリーが大きく発展するのは、18世紀を通じてです。
下記は画家Antoine Raspal(1738-1781)によるアルルの女性の肖像画。

arlesienne

Granat美術館所蔵。
胸元にマルタの十字架、腕にブレスレットが描かれています。

以下にビジュードプロヴァンスの典型的なジュエリーをいくつか挙げます。
アルル地域で作られたアルルのダイヤモンドのリビエールネックレス。

アンティークダイヤモンドネックレス(南仏プロヴァンス、ステップカットダイヤモンド)

ビジュードプロヴァンスに、十字架(クロス)の比率はとても多いです。
なぜならこの地域では、クロス(あるいはソートワール)こそが「富の象徴」であったからです。
プロヴァンスの十字架にはいくつかのとても特徴があるデザインが見られます。
例えば下記は、当店で販売済みの「Croix Capucines」と呼ばれるタイプのもので、コーン型の頂上に小さなローズカットダイヤモンドをセットします。
また南仏のクロスでは、キリストは描かれません。

アンティークローズカットダイヤモンド十字架(17-18世紀、南仏ビジュードプロヴァンス)

下記も南仏の特徴が出たクロスです。
花の形をしたモチーフで描かれたクロスは、19世紀末から見られます。
モチーフの底部に黒いエナメルが入れられたものも南仏のクロスでよく見ることができます。

ビジュードプロヴァンス(南仏のクロス、シンセティックサファイヤ、黒エナメル)

南仏プロヴァンスでは、ソートワールの「連の多さ」は社会的ステータスを表すと考えられていました。
そしてチェーンに十字架やメダル(メダイヨン)、時には時計を通しました。
時計を通すときはあらかじめ胸の辺りにそれ用の小さなポケットも作られました。

下記は1900年頃の絵葉書で描かれた「アルルの女性たち」。
当時のソートワールの装いが分かる一枚です。

arlesiennes_postal

マルセイユでは、子供が生まれるごとにこの連を一つずつ足していきました。
下記は1866年に描かれたマルセイユの女性。
首に何連ものチェーンを重ねています。

marseillaise

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