メレリオディメレー アールヌーボーペンダントネックレス
何とメレリオディメレーのアンティークジュエリーを入荷することができました。
ヨーロッパを代表するフランスで最も古いジュエリーメゾンのメレリオディメレー(MELLERIO dits MELLER)。
裏面を見るともともとブローチとして作られていて、後年にペンダントにされたことが分かります。
メレリオディメレーの刻印やサインは数種類あります。
このペンダントには「MM」の工房印のみが入っています。
刻印の形とイニシャルでメレリオであることは確認できていますが、ブローチの針に「Mellerio dit Meller」のサインの方が入っていた可能性もあります。
エルダーベリーをモチーフにしたアールヌーボーのジュエリー
1900年頃、典型的なフランス、アールヌーボーの特徴がよく出ています。
流れるような全体のリボンのようなシルエットは、フランスアールヌーボーでよく見る典型的なフランスアールヌーボーの作風です。
その「ニョロニョロしたライン」から冗談も込めて「ヌードルスタイル Style Nouille」と呼ばれています。
モチーフはエルダーベリー。
つぶらかな果実の実が、金の粒で表現されたユニークな作品です。
ダイヤモンドはローズカット。
下部に垂れるダイヤモンドのみオールドヨーロピアンカットにされています。
全体はイエローゴールドでダイヤモンドの台座の表面のみがホワイトゴールドになっています。
ダイヤモンド周りの台座に施されたミルグレインの細やかさ。
イエローゴールドのベリーの葉には手彫りで見事な葉脈が瑞々しく描かれています。
さすがメレリオディメレー、どこを見ても完璧なハイクオリティーな宝飾技術です。
オリジナルボックス付き(ブローチの時に作られたものと思われます)。
チェーン(18カラットゴールド)も付いていますが、これはおそらく後付けです。
チェーンは取り外しができ、アンティークの重量感や堅牢さも申し分のない素晴らしい編みのチェーンです。
チェーンの長さは43.5センチ。
18カラットゴールド。
1900年頃のフランス製。
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メレリオディメレー(MELLERIO dits MELLER)はフランスでも最も古いジュエリー・メゾンで、ショーメ、モープッサン、ブシュロン、ヴァンクリーフアーペルと共にグランサンク(パリの広場に集まる一流メゾン5社の総称)の一つです。
その創業は1613年に遡ります。
イタリア人のメレリオが、マリー・ド・メディシス(フランス国王アンリ4世の二番目の王妃でルイ13世の母)の庇護の下にパリで創業します。
ジャンバティスト・メレリオ((1765-1850)の代にフランス王家ご用達になり、マリー・アントワネット王妃が贔屓にします。
下記は1780年代に、マリー・アントワネットがメレリオ・ディ・メレーから買い上げたカメオとガーネットのブレスレット。
1796年にヴェルサイユにお店を作り、ジョゼフィーヌ皇后のご用達になります。
フランソワ・メレリオ (1772-1843)の代にお店をパリに移します。
パリ、サントノレ通りに店を構え、工房を9 rue de la Paixに構えます。
このpaix通りに今でもメレリオディメレーは存在し続けています。
王政復古時代には、マリー・アメリー・テレーズ・ド・ブルボン=シシレ王妃とルイフィリップ王のご用達になります。
このようにして見ますとフランス革命前から、いかにフランス王国貴族とかかわりの深いかかわりを持ってきたメゾンだったか分かります。
逆に言うとメレリオディメレーは王族貴族に限定されたメゾンでもありました。
ジャン=フランソワ・メレリオ (1815-1896) の代には、スペインにも出店しイザベル2世(後のウジェニー・ド・モンティジョ)を顧客とします。
下記は19世紀のダイヤモンドのネックレス。
(c) 2016 Sotheby’s
クッションペアシェイプのダイヤモンとシングルカット、ローズカットのダイヤモンドを豪華に用いたネックレス。
フランス王家の紋章のフルールドリスをモチーフにした豪華なもので間違いなく当時のフランス王族貴族のオーダーの品です。
下記は1870年頃のメレリオディメレーのリボンモチーフのサファイヤのネックレス。
(c) 2016 Sotheby’s
オーバルカットのブルーサファイヤがそれぞれクッションシェイプのダイヤモンドで縁取りされた豪華なネックレスで、3つのドロップラインは取り外しも可能。
メレリオの文献によれば、ベルギー貴族のリーニュ公H.H Eugeneが所持していたものだそうです。
下記は当店扱いの19世紀後期-1900年頃のピン。
オリジナルボックスまで残っているところが良いです。
近年ササビーズやクリスティーズをはじめとする世界中のオークションで、こうしたグランメゾンの1950-1960年代までのジュエリーが非常に高値で取引されています。
(今のところ価格が上がっているのは特に1960年代までのグランメゾンの作品です)
下記はクリスティーズに出展されたエメラルド、ルビー、ダイヤモンドのブローチ。
(c) christies.com
下記はササビーズに数年前に出展されている、1950年代のメレリオディメレーのブレスレット。
(c) 2016 Sotheby’s
下記は当店で販売済みのメレリオディメレーのブレスレット。
推定価格も高価ですが、実際は推定価格の3倍、時には5倍ほどの価格で落札されることが多いです。
そこまで高騰してしまったが最後、私たちディーラーにも手が出せなくなってしまいます。
まだチャンスがあるとすればこうしたオークションにかからず、個人蔵などからパリあるいはロンドンの一部のディーラーさんを経由して運よく手にいれられれば・・・というところです。
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