メレリオディメレー MELLERIO dits MELLER のサインドピース
メレリオディメレーと言えばその魅力は何と言っても、フランス最古の宝飾メゾンで、長きに渡ってフランス王家ご用達であったということ。
グランサンクの1つですが、他のグランサンクと比べますと日本ではなぜか知名度がそこまで高くないのが不思議です。
特にある年代までフランスを中心とした王族貴族に限定されたメゾンであり、近代になってもヨーロッパの皇族ファミリーと関係が強かったことが(常に重きをヨーロッパにおいていると言う意味で)、日本での知名度がそれほど高くない原因なのかもしれません。
こうしたグランメゾンのヴィンテージのジュエリーで1960年代までのものは、「エステートジュエリー」と呼ばれて近年恐ろしいほど価格が高騰しています。
今回はしかもかなり古く1930年代のもの。
パリで懇意にしているディーラーさんから特別譲り受けましたが、ひとたび特に名の知れたオークションに出品されてしまいますと、価格が跳ね上がってしまう類のジュエリーです。
2トーンカラーの輪を組み合わせた、遊び心ある作品です
2カラーのイエローゴールド(共に18金)のリングを組み合わせています。
これが絶妙な色で、共にイエローゴールドですが片方のイエローゴールドの色はホワイトを僅かに帯びた薄めのイエローゴールドになっています。
明らかにクオリティーの良さが分かる、良い色をしています。
トーンの異なる輪を3つずつ複雑に絡ませて、それをチェーンでつながれいるので装着時に華麗な動きが出ます。
1930年代の作品と推定できます。
アールデコ後期の幾何学的なデザインを受け継ぎつつ、40年代に向かっていく特徴が見られます。
手にすると気持ちのよい重量感もあり、さすがはメレリオディメレーと言った作品です。
ブレスレットの長さは19.5センチであまり大きすぎないところが、私たち日本人には嬉しいところです。
比較的リーズナブルに今回仕入れることができたのは、西洋女性には少し小さめということもあります。
二箇所にメレリオディメレーのサイン入り。
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メレリオディメレー(MELLERIO dits MELLER)はフランスでも最も古いジュエリー・メゾンで、ショーメ、モープッサン、ブシュロン、ヴァンクリーフアーペルと共にグランサンク(パリの広場に集まる一流メゾン5社の総称)の一つです。
その創業は1613年に遡ります。
イタリア人のメレリオが、マリー・ド・メディシス(フランス国王アンリ4世の二番目の王妃でルイ13世の母)の庇護の下にパリで創業します。
ジャンバティスト・メレリオ((1765-1850)の代にフランス王家ご用達になり、マリー・アントワネット王妃が贔屓にします。
下記は1780年代に、マリー・アントワネットがメレリオ・ディ・メレーから買い上げたカメオとガーネットのブレスレット。
1796年にヴェルサイユにお店を作り、ジョゼフィーヌ皇后のご用達になります。
フランソワ・メレリオ (1772-1843)の代にお店をパリに移します。
パリ、サントノレ通りに店を構え、工房を9 rue de la Paixに構えます。
このpaix通りに今でもメレリオディメレーは存在し続けています。
王政復古時代には、マリー・アメリー・テレーズ・ド・ブルボン=シシレ王妃とルイフィリップ王のご用達になります。
このようにして見ますとフランス革命前から、いかにフランス王国貴族とかかわりの深いかかわりを持ってきたメゾンだったか分かります。
逆に言うとメレリオディメレーは王族貴族に限定されたメゾンでもありました。
ジャン=フランソワ・メレリオ (1815-1896) の代には、スペインにも出店しイザベル2世(後のウジェニー・ド・モンティジョ)を顧客とします。
下記は19世紀のダイヤモンドのネックレス。
(c) 2016 Sotheby’s
クッションペアシェイプのダイヤモンとシングルカット、ローズカットのダイヤモンドを豪華に用いたネックレス。
フランス王家の紋章のフルールドリスをモチーフにした豪華なもので間違いなく当時のフランス王族貴族のオーダーの品です。
下記は1870年頃のメレリオディメレーのリボンモチーフのサファイヤのネックレス。
(c) 2016 Sotheby’s
オーバルカットのブルーサファイヤがそれぞれクッションシェイプのダイヤモンドで縁取りされた豪華なネックレスで、3つのドロップラインは取り外しも可能。
メレリオの文献によれば、ベルギー貴族のリーニュ公H.H Eugeneが所持していたものだそうです。
下記は当店扱いの19世紀後期-1900年頃のピン。
オリジナルボックスまで残っているところが良いです。
近年ササビーズやクリスティーズをはじめとする世界中のオークションで、こうしたグランメゾンの1950-1960年代までのジュエリーが非常に高値で取引されています。
(今のところ価格が上がっているのは特に1960年代までのグランメゾンの作品です)
下記はクリスティーズに出展されたエメラルド、ルビー、ダイヤモンドのブローチ。
(c) christies.com
下記はササビーズに数年前に出展されている、1950年代のメレリオディメレーのブレスレット。
(c) 2016 Sotheby’s
下記は当店で販売済みのメレリオディメレーのブレスレット。
推定価格も高価ですが、実際は推定価格の3倍、時には5倍ほどの価格で落札されることが多いです。
そこまで高騰してしまったが最後、私たちディーラーにも手が出せなくなってしまいます。
まだチャンスがあるとすればこうしたオークションにかからず、個人蔵などからパリあるいはロンドンの一部のディーラーさんを経由して運よく手にいれられれば・・・というところです。
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