吹きガラスで出来たパール
大粒の真珠のイヤリングに見えると思いますが、雫型の真珠のように見える石は吹きガラスです。
シャンパンカラーの繊細なニュアンスの色が出ていて、目を奪われます。
大粒のペアシェイプで、横幅9ミリ、縦幅1.3センチもあり大変見映えがします。
またこの吹きガラスパール(スフレガラス)は、ずっしりとした重みがあるところが面白いです。
通常吹きガラスは中が空洞なので軽量なのですが、アールヌーボーの頃のガラスジュエリーは重みのあるものも多いです。
この時代のガラスジュエリーは鉛を重用したものが多いので、おそらく鉛を含んだ吹きガラスなのではないかと思います。
通常の吹きガラスよりずっと重厚感があり、貴重なガラスジュエリーです。
鮮明な紫色のアメジストとダイヤモンド
ガラスの一種でありながら、その扱いは真珠にも劣らないことは、脇石などからも分かります。
主役は吹きガラス、その上に小さなダイヤモンド、そしてアメジストと続きます。
フェイクガラスパールは傘のようなパーツで留められています。
この傘のようなパーツから吹きガラスに針で突き刺して留めていますが、この留め方も当時の真珠のセッティングでよく見られた技法です。
よく見るとこの傘のパーツに小さなダイヤモンドが左右それぞれ4石ずつセットされています。
吹きガラスがいかに主役でいかに大事に扱われているか分かります。
珍しくイヤリングです。
ネジ式のイヤリング金具は機能も健在で、相当耳たぶの薄い方でもキュッと締め上げることができます。
アンティークジュエリーはピアスが断然多いので、イヤリング派の方に朗報です。
金具部分は銀製です。
1900年頃の推定イギリス製。
ピアスへの作り替えは難しいです。
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ガラスは最も古い「宝石」のひとつです。
古くは紀元前3000年前のメソポタミアとコーカサスの遺跡から発見されています。
いわゆる貴石の代役としての役割も、少なくとも紀元前1500年前のエジプト文明の頃には既に確立されていました。
中世、カラーガラスは主に宗教的な目的に用いられました。
例えば聖骨箱や聖書に飾られました。
非宗教的な用途としては、例外的に子供のジュエリー、そして葬儀用のジュエリーにも使われました。
吹きガラスとは、ガラス工芸の技術のひとつで、高温溶融されたガラスを、吹き竿に巻き取って、息を吹き込んで成形するガラス工芸技法のことです。
その起源は紀元前1世紀まで遡ります。
東地中海沿岸のフェニキア人が発明しました。
吹きガラス製法は古代ローマの時代からほとんど変わっていません。
イギリスやフランスでは18世紀に、ロココスタイルの仕上げとして登場した吹きガラスが登場します。
「もっとも上質なフェイクパール」として敬意をこめて「ローマの真珠」と呼ばれることがあります。
下記は当店扱いの吹きガラスのイヤリング。
艶があり上質のパールに見まごいます。
下記は海外資料より抜粋。
「18世紀ロココ様式の吹きガラスのピアス」です。
吹きガラスの表面に、魚の鱗から取った光沢材をコーティングして、独特の光沢を出したそうです。
そしてこの吹きガラス技法が再び脚光を浴びるのが、19世紀末になってからです。
この時代、アールヌーボーの作家など数多くの宝飾家が再び「ガラス」とという素材に注目をして、ガラス素材の高級ジュエリーを生み出します。
アールヌーヴォージュエリーは、素材の本質的な価値ではなく、芸術的、デザイン的な視点にたった素材選びを行いました。
以前はハイジュエリーには用いられることのなかったガラスを加工して、ガラスならではの繊細なニュアンスの色を体現。
えもいわれぬ美しいガラスジュエリーの数々がこの時代、作り出されました。
そして20世紀初頭には、著名なガラス工芸家のルネラリックが、吹きガラス技法を駆使して、数々の香水ビンを作り伝説となります。
アンティークのガラスジュエリー「ムラノガラス」
アンティークのガラスジュエリー「サフィレット(Saphiret)とボヘミアの変色ガラス」
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アンティークのガラスジュエリー「ブリストルグラス」
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