ハイクラスのエドワーディアンのダイヤモンドジュエリーは、今後ますますその価値が高まります
史上最も美しいダイヤモンドが作られたのはいつ頃か、ご存知でしょうか?
19世紀後期に新大陸(南アフリカ)でダイヤモンドの鉱山が発見されてから数十年間、光煌くハイクオリティーのダイヤモンドにヨーロッパ中が熱狂します。
この時代の史上最高のダイヤモンドを用いたアンティークジュエリーは、世界中のコレクターに探されています。
特に完成度が高いダイヤモンドジュエリーが作られたのは、1910年頃のイギリスないしフランスです。
フランスで言うところ述べるエポック時代後期(ベルエポック時代は25年程に及びます)、イギリスで言うところのエドワード王朝時代です。
この時代に「ゴールドバックのプラチナ」のジュエリーが好まれて作られましたので、こうしたスタイルのジュエリーをフランスのジュエリーであっても「エドワーディアン」と呼ぶことがよくあります。
この時代の「ダイヤモンドxゴールドバックプラチナ」のジュエリーは、世界的な人気があります。
近年レベルの高い作品はどんどんと見つけづらくなってきており、稀に見つけるとお値段は天井高。
このような価格帯でのご提供は、これで最後でしょう。
1カラットのダイヤモンドも!豪華ダイヤモンドのタペストリー
これ以上ないほどのダイヤモンドのクオリティー。
そして「ダイヤモンドのタペストリー」のようにダイヤモンド尽くしです。
非常に大粒のダイヤモンドも用いられていて、例えば最下部のドロップのダイヤモンドは1カラットあります。
驚くべきことにメインダイヤモンドも全てのダイヤモンドが オールドマインカットにされています。
脇石の小さなダイヤモンドはローズカットが普通ですから、私も驚きました。
この時代、大きさのある良い石はローズカットではなくオールドマインカットにされました。
このことからも極めて贅沢な作品であったことが分かります。
台座に深く埋め込まれているので大きさは分かりづらいかもしれませんが、最下部のダイヤモンド以外も、直径3ミリを超えるような大粒のトップクラスのダイヤモンドがそこら中に埋め込まれています。
緑石はぺリドット。
ぺリドットの中でも色調が明るい、とても綺麗な黄緑色の石です。
本体部分は18カラットゴールドバックのプラチナ。
チェーン部分もオリジナルで(それだけでも価値があります)、チェーンはハンドメイドのプラチナ。
ネックレスの長さは41センチで、そこからペンダント部分が垂れます。
ペンダントの大きさは横幅が約4センチ、縦幅が約3.2センチ。
ペンダント部分は狭い面積の中にダイヤモンドがギュッと詰まった感じで、そこまでサイズが大きくないところも使いやすいです。
1910年頃のフランス製。
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プラチナは金や銀に比べると溶かす温度が高く、19世紀の末まで使用されることはほとんどありませんでした。
皆さんもご存知のようにプラチナが一般的に市場に出てくるのは早くても1910年頃、一般的には1920年代に入ってからです。
もちろんアンティークジュエリーは例外も多く、稀に19世紀のジュエリーの一部に使われていたこともあります。
1850年ぐらいからプラチナをジュエリーに使う、実験的な試みは始まっていたという説もあります。
表面、特に「ダイヤモンド周りがプラチナ」で「裏面がイエローゴールドバック」になったジュエリーは20世紀初頭。
1910年頃のイギリスで言うとエドワーディアン、フランスで言うとベルエポック後期の頃の作品に良く見られます。
下記は当店で販売済みの1900-1910年製作、ダイヤモンドペンダントネックレス。
表面がプラチナでダイヤモンドの透き通った美しさを最大限に活かして、裏面がイエローゴールドになっています。
しかしゴールドパックされていない、全体がプラチナで出来たジュエリーが多く見られるのは1920-1930年代、アールデコ期のジュエリーにおいてです。
下記は全体がプラチナで出来たダイヤモンドリング。
この時代、プラチナはジュエリーだけでなく時計のケースにも用いられています。
下記は当店で販売済みの同時代のプラチナのダイヤモンドウォッチです。
プラチナの延性
プラチナはよく「延性がある」と表現されるのですが、粘り気があり破壊されずに引き伸ばされる性質を持っています。
少量でも延びるプラチナは小さな爪でダイヤモンドをセッティングすることを可能にし、レースのようなデリケートなプラチナワークを可能にしました。
少量でも延びるプラチナのおかげで、小さな石を完璧に留められるようになり、19世紀以前のジュエリーに比べて特に石周りが明るく垢抜けたジュエリーが多くなります。
メイン石の周りを小さなダイヤモンドが囲んだような、繊細精緻なタイプの秀逸なジュエリーが作られます。
プラチナとミルグレイン
またプラチナはミルグレイン(ミル打ち、縁のギザギザ)を打つのに適した金属です。
プラチナの硬質な白い輝きは、それ以前のアンティークジュエリーとはまた異質の輝きで、その細くシャープなラインが現在見ても「時代の最先端の息吹」を感じさせてくれます。
カルティエ社とプラチナ
特にプラチナを好んだのはカルティエです。
(カルティエがアールデコ期に製作したジュエリーの地金のほとんどはプラチナ、そしてプラチナは他のメゾンや工房より10年プラチナを早く取り入れていることでも知られています)。
下記は1930年にカルティエNY製作の花かごのブローチ。
ダイヤモンド(バゲットカットとブリリアントカット)にロッククリスタルとムーンストーンと言う白と透明色の色の組み合わせもまたアールデコならではの色彩です。
プラチナのジュエリーとゴールドのジュエリー
ちなみにプラチナが市場に出てきたからといっても、すべてのジュエリーの地金にプラチナが使われたわけではありません。
あいかわらずイエローゴールドも、ホワイトゴールドも(1875年頃から実用化)、銀のジュエリーも作られ続けています。
特にフランスのアンティークジュエリーの場合、フランス人が歴史的にゴールドが好きな民族であるせいか1930年以降のジュエリーにおいてもプラチナを使ったものはごく一部です。
プラチナの刻印
フランスの刻印は非常に数が多く、18金ゴールドでも非常にたくさんの種類の刻印があります。
しかもフランスの刻印は2ミリほどと非常に小さく、年月の磨耗もあり非常に見ずらいのです。
そんな中で比較的シンプルなのがプラチナの刻印。
「犬の頭」の形をしています。
プラチナは後年に出てきたもののせいか、ゴールドと比べると刻印のバリエーションはずっと少なく、アンティークジュエリーに出てくるプラチナの刻印はほぼこの一つといってよいでしょう。
もちろん外国製のもの等、例外を語りだせばキリはないのですが。
プラチナの産出量と価格
プラチナは現在では全世界の産出量の75%が南アフリカ共和国で採れるのをご存知でしょうか?
中でも南アフリカ最大規模の鉱山がラステンブルグ鉱山。
ここでは月間およそ110万トンのプラチナ原鉱石を採掘しているそうです。
1トンの原鉱石の山から抽出されるプラチナは、たったの3グラム。
掘り出されたプラチナ原鉱石は近くの精錬所に運ばれ、8週間かけて純プラチナが抽出されるそうです。
プラチナの値段の動きは、ゴールドに比べて大きくなることが多いです。
値段があがるときは大きくあがり、下がるときは大きく下がるということです。
これはなぜかといえば、プラチナの市場規模が金に比べるとはるかに小さいためです。
プラチナの供給量は実に金の5%にも満たないのです。
プラチナが実用化されておよそ100年経ていますが、それでも尚、貴金属の中でも最も貴重な金属なのです。
またプラチナの生産が一部の国に偏っているものもう一つの要因です。
南アフリカのシェアが圧倒的に高く、全世界のプラチナ生産高の7割以上を占めています。
ついでロシアが生産地とあげられます。
両国と経済的に不安定な地域ということもあり(例えば政治的に何かこの地域で勃発すると値段が急騰したりします)、プラチナ市場は変動幅が大きくなっています。
市場で高く評価されるプラチナ製アンティークジュエリー
先に現代のプラチナの価格の動きについて書きましたが、アンティークのプラチナジュエリーがこれらの価格の影響を受けるかといえば、そこまで連動しません。
しかし一般的にプラチナ製のアンティークジュエリーは、アンティーク市場で高く評価され高額で取引されることが多いです。
これは素材そのものに対する評価というより、繊細なプラチナワークやその時代のトップレベルの宝飾技術が評価されていることが多いからです。
また先で説明しましたとおり、プラチナが実用化されたのは金や銀よりずっと後年です。
そのために製作されたアンティークジュエリーは圧倒的に数が少なく、希少性も評価されています。
またプラチナが出始めた20世紀初頭は、ゴールドとプラチナの価格差が大きくありました。
この時代はまだプラチナの精錬コストが高かったのとプラチナの産出量が少なかったため、プラチナはゴールドと比べ物にならないほど高価な素材でした。
そのため特に20世紀初頭に製作されたジュエリーは、概して良質なものほどプラチナが用いられることが多かったこともあり、プラチナのアンティークジュエリーは一般的に評価が高いです。
アンティークエピソード集のページでは、様々なアンティークに関するエピソードをご覧いただけます。
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