アンティークジュエリーでホワイトゴールドはいつから存在するか?

アンティークジュエリーでもホワイトゴールドは使われます。
「ホワイトゴールドのジュエリーは1920年以降ぐらいにしか作られなかった」とおっしゃるディーラーさんもいらっしゃるようですが、これは完全に間違いです。
全体がホワイトゴールドで出来たジュエリーは確かに1920年頃からのジュエリーに多いのですが、ダイヤモンドの台座周りなどごく一部にホワイトゴールド(グレイゴールド)を使う方法は1900年頃のジュエリーによく見られますし、ホワイトゴールドそのものは1870年頃から存在します。
そして全体がグレイゴールド(ホワイトゴールド)のジュエリーも、フランスでは早くは1910年頃のジュエリーに見られます。

具体例とともにご紹介しましょう。
例えば下記はフランスの権威あるジュエリー専門のオークション会社のカタログからの抜粋です。

ホワイトゴールドブローチ
「1910年頃、グレイゴールド(or gris)の円形ブローチ」と記載されています。」。
この時代に既にホワイトゴールドは存在し、しかも単独でジュエリー全体に使われていることが分かります。
ちなみにホワイトゴールドとグレイゴールドの違いですが、基本的に同じものです。

下記もフランスの権威あるジュエリー専門のオークション会社(現地の専門家が複数人で査定してます)のカタログより抜粋します。

ホワイトゴールドとプラチナのブローチ
「1900年頃、プラチナとグレイゴールド(ホワイトゴールド)」と記載されています。
1900年頃に既にホワイトゴールドが存在し、このジュエリーではプラチナと張り合わせで使われています。

また「1920年代以降のアールデコのジュエリーで、ホワイトゴールドでできたものは質が悪いジュエリー、あるいはフェイクアンティークジュエリーの場合が多い。」とおっしゃるディーラーさんもいるようですが、良識あるフランス人ディーラーが聞いたら卒倒してしまいますし、私も聞いてショックを受けました。

ホワイトゴールドとプラチナのアンティークジュエリーの違いは、美しさやクオリティーの良し悪しにあるのではありません。
あえて言うなら「希少さ」です。
確かに当時、プラチナはゴールドに比べてずっと高価な金属であるのと同時にゴールドより硬く、「珍しいもの」だったのです。
「数が少ない=希少性のあるもの」がアンティークの世界では後年より高額で取引されていくことになります。
そこから一人歩きして「プラチナのアンティークはハイクオリティー」という説が出てきたのでしょう。
しかしプラチナは特徴としてよく伸びるのですが何といっても硬く、こまかな金細工を施すにはホワイトゴールドのほうが適していることも多々ありました。
どちらが良いかはジュエラーがケースバイケースで判断、もちろん好みもあります。
カルティエはいち早くプラチナを好んだとか、そういう違いもあります。

しかしホワイトゴールドでも良質なアンティークジュエリーが作られています。
下記は1925年にブシュロンが製作したジュエリー。
上記は外縁の白い金属がホワイトゴールド、下の作品はメインの白い金属がやはりホワイトゴールド(グレイゴールド)です出来ていることが明記されています。

ブシュロンアールデコ

説明文の「or girs」がグレイゴールドと言う意味です。
もちろんハイクオリティーな正真正銘のアールデコジュエリーです。

フランスは歴史的にゴールドが好きな民族で、早くからハイカラット(18金)ゴールドでのジュエリーの製作が始まっていますから、20世紀初頭にプラチナが市場に出始めてそれはある部分では一世を風靡しますが、それ以前のゴールドで作られるジュエリーが完全に取って代わることはありませんでした。
ゴールドの方が柔らかく細工がしやすいため、適性によって使い分けています。
ちなみに優れたアールデコのジュエリーはプラチナやホワイトゴールドだけでなく、時には銀でも作られています。
下記は1912年かのジャン・デプレが製作したネックレス。

銀とゴールドのネックレス
銀(argent)とイエローゴールド(or)を用いてることが明記されています。
年代的には少し早めですが、完全なアールデコのジュエリー、もちろんハイクオリティーなのは言うまでもありません。

ホワイトゴールド(グレイゴールド)の関しては、イギリスに関しては事情が異なるところがあります。
イギリスとフランスでは主たるゴールドのカラットが異なり、特にカラーゴールドの発展の仕方は異なるところが多いのです。
どの世界でも適当なことを言う人はいて、ヨーロッパのディーラーさんもそれは同じです。
しかし何か聞いてそれをそのまま鵜呑みにするのではなく、調べないとそのまま誤った情報を伝達してしまうことになります。
ディーラーであればそれが本当に正しいのかを実例と共に検証していかなくていけないのです。
地味な作業ですが、実例と共に考察を深めていくことで、ようやく正確な知識が身についていきます。

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