--- アンティーク・エピソード ---アンティークゴールドのカラット 金位(9ct 14ct 15ct 18ct 22ct)

ジュエリーの基本でありながら案外聞かれる機会が多いのが、アンティークジュエリーで用いられるゴールドのカラットについてです。
国によって金位の発達の歴史が異なるということも、理解が難しい理由の一つです。

アンティークジュエリーで出会うゴールドの金位は主に9ctゴールド(37.5%がゴールド)、12ctゴールド、14ctゴールド、15ctゴールド、18ctゴールドです。
24/24が100%(純金)ですので、18ctゴールドは24分の18つまり75%が金で、その他の25%が他の金属を使用しているという意味になります。
14ctゴールドは、14/24がゴールドで、残りの10/24に銀や銅、パラジウムを使用しています。

まずこの中で主にイギリスのアンティークジュエリーでしか見られない金位が9ctゴールドと12ctゴールド、15ctゴールドになります。
12ctゴールドと15ctゴールドは「1854-1932年の間に用いられた金位」とよく説明されます。
しかし1854年に初めて「9ct、12ct、15ct」の法整備ができたというだけで実際は、1854年以前の例えばイギリスのジョージアンのジュエリーのほとんどは15ctであることは歴然足る事実です。
(刻印制度は19世紀を通じて発展していくのでジョージアンのアンティークジュエリーですと刻印があることの方が珍しいです)
12ctゴールドと15ctゴールドは共に、1932年に14ctゴールドに取って代わられます。
しかしそもそも1900年以降、15ctのジュエリーはほとんど作られていません。
ちなみに14ctゴールドと15ctゴールドは、含まれるゴールドの量としては微量の違いしかありませんが、「色あい」としては両者の違いは大きいと言われています。

下記は当店扱いの15ctゴールドのイギリスのアンティークペンダントです。

ルビーとダイヤモンドンペンダントトップ(15カラットゴールド ヴィクトリア朝初期)

ジョージアンのジュエリーの実に9割が15ctゴールドであると言われています。
またジョージアンの時代はハイカラット(15カラットゴールド以上)のゴールドが好まれましたので、この時代には既に少数派ではありますが18ctゴールドのジュエリーも作られていますし、ジョージアンのモーニングリングなどでは22ctゴールドで製作されたものも存在します。

また12ctゴールドは公式には1854-1932年にわたって用いられた金位となっていますが、実際にイギリスのジュエリーで12ctゴールドのジュエリーを見ることは極めて稀です。

次に9ctゴールドですが、大まかに言えば9カラットゴールドがイギリスのジュエリーで多く見られるようになるのは、1880-1900年頃のレイト・ヴィクトリアンの時代です。
この頃までにジュエリーがある程度の規模で量産されるようになり、9ctゴールドのジュエリーも多く作られるようになります。
一般的にハイクラスのジュエリーはこの時代も15ctゴールドや18ctゴールドで作ることを好んだと言いますが、必ずしも9ctゴールドだから低レベルな作品と言うわけではありません。

9ctゴールドの大きな利点の一つは、18ctゴールドなどのハイカラットゴールドに比べて磨耗が少ないことと重量が少ないことです。
例えば長年身につけたハイカラットの結婚指輪などが局所的にとても薄くなってしまうと言った経験をされた方も多いことでしょう。
ゴールドは純金に近いほど、磨耗しやすくなり、9ctゴールドは磨耗がしにくいと言う点は大きな利点です。

また重量については、例えば大きなブローチやペンダント、長いチェーンなどはハイカラットゴールドになりますとかなりの重量になりますので、身に着けた時の負担を考えて9ctゴールドが用いられるケースもあります。
下記は当店扱いの9ctのブレスレット。

ア9カラットゴールド バングルブレスレレット(レイトヴィクトリアン 1900年)

エドワーディアンの時代になっても9ctゴールドは使われ続けますが、特にハイクラスな作品は18ctゴールドが用いられるようになります。
あるいはイギリスの場合プラチナのジュエリーがフランス以上に好まれましたから、白い金属ですと1900年以降はプラチナが好んで用いられるようになります。

一方フランスでは僅かな例外を除き、長年を通じてゴールドと言えば18ctゴールドが用いられました。
17世紀のジュエリーも18世紀のジュエリーもゴールドはほとんどの場合、18ctゴールドが用いられています。
ただし「イエローゴールド」という意味です。
ホワイトゴールドがフランスのジュエリーで用いられ始めるのは1875年頃からになります。

それ以外では14ctゴールドが僅かに見られますが、これはマルチフープリングなど主に加工上の理由で、14カラットゴールドのフランスのジュエリーは極めて少なく、「フランスのゴールドジュエリー=18ct」ということがほぼ当てはまります。
下記は王政復古時代(イギリスで言うところのジョージアン後期のゴールドブレスレットですが、やはり18ctゴールドが用いられています。

金の刺繍カンティーユの金細工ブレスレット(1820年頃、カラーゴールド、ゴールドメッシュ)

14ctゴールドが主流だったのはアメリカ。
アメリカのジュエリーの大半は14ctゴールドで作られ、アメリカのジュエリーの9割は14カラットゴールドであると言われています。

また14ctゴールドで忘れてならないのはオランダ及びオーストリア。
オランダで製作されたアンティークジュエリーの大半はやはり14ctゴールドで、オランダの14ctゴールドの刻印(オークの葉)が押されています。
下記のリングはオランダ製で、ゴールド部分は14ct、オークの葉の刻印が押されています。

ダッチローズカット指輪(オランダ製、14金ゴールド)

下記のペンダントは色的に18カラットゴールドのように見えますが、オランダの14カラットゴールドの刻印が押されています。

アクアマリンとルビーのネグリジェネックレス(1910年頃 オーストリア製)

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