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アンティークジュエリーで時々目にする緑色の石、クリソプレーズ。
古くはローマ時代からカメオなどの装飾品に用いられてきました。
かのアレキサンダー大王もクリソプレーズを胸飾りにしていました。
アンティークジュエリーでは特に、19世紀半ばからアールデコ期にかけてのジュエリーに時々見ることができます。
クリソプレーズとは、黄緑色や薄緑色のカルセドニー、つまり瑪瑙(めのう)の一種であることから「緑玉髄(りょくぎょくずい)」とも呼ばれます。
下記はアールヌーボー期のクリソプレーズのリング。
カルセドニーとは、微小な石英が集まって形成されている石です。
和名で「玉髄(ぎょくずい)」とも言い、石英の非常に細かい結晶が網目状に集まり、緻密に固まった鉱物の変種です。
カルセドニーの中で、黄緑色をしたものを「クリソプレーズ」と呼び、クリソプレーズよりもくすんだ緑をしているものを、「グリーンカルセドニー」と分類しています。
「カルセドニー」と言いますとあまり高価な印象がないかもしれませんが、クリソプレーズはカルセドニーの中でもっとも産出量が少なく、高価に取引されます。
クリソプレーズのグリーンはその明るさから強くイエローをイメージさせます。
その色合いから「金」の中から生まれた宝石と考えられました。
ギリシャ語の「chryso(金)」と緑色の植物「prason(韮)」が語源です。
クリソプレーズと一言で言いましても色の幅はかなり広いです。
エメラルドグリーンの透明感あるクリソプレーズは、特にアールデコ期のハイクラスなジュエリーで見ることが多いです。
下記は当店で販売済みの大粒のクリソプレーズを大胆に用いたアールデコ期のロングピアスです。
このクリソプレーズはまさにお見本のようなクリソプレーズの色で、いつも鑑別をお願いしている鑑別士さんも絶賛でした。
エメラルドより明るく翡翠より深みのあるエメラルドグリーンのクリソプレーズは見ているだけで心が洗われていくようです。
アールデコ期以降はヴァンクリーフアーペルなどの名だたるメゾンがやはりクリソプレーズを用いたジュエリーを生み出しています。
下記は1970年代、ヴァンクリーフアーペルのクリソプレーズとダイヤモンドのブローチです。
同じく下記はやはりヴァンクリーフ・アーペルが同時代に発表した珊瑚とクリソプレーズのゴールドペンダントネックレスです。
こちらの2つのヴァンクリーフアーペルの作品では少し濃い緑色のクリソプレーズが使われています。
他の宝石にはない豊かな緑色の幅もこうしたグランメゾンのクリエイションを掻き立てた理由でしょう。
下記はもう少し後年の1970年代のリング。
アールデコを回帰した幾何学的なシルエットのリングです。
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