--- アンティーク・エピソード ---カルロ・ジュリアーノ(Carlo Giuliano)一族とカステラーニ(Castellani)のアンティークジュエリー

ジュリアーノは19世紀に活躍したアンティークジュエリーの歴史の中でもっとも有名なジュエラーの一人です。
カルロ・ジュリアーノ(Carlo Giuliano 1831-1895)はイタリア南部の、ナポリ生まれ。
イタリア出身の天才宝飾家カステラーニ(Castellani1793-1865)の工房で修行をし、1860年頃に一家はロンドンへ移住しフリス・ストリートに工房を開きます。
この時代はまだ自ら自身のジュエリーを販売をせず、Harry Emanuel、Hunt & Roskell(ハント・アンド・ロスケル)、C.F. Hancock(C. F.ハンコック)、Robert Phillips(ロバート・フィリップス)などの名だたるジュエリー店のためにジュエリーを製作していました。
この時代のジュリアーノのジュエリーはジュリアーノの刻印とジュエリー店の両方の刻印の入っていることがあります。
下記はカルロ・ジュリアーノの初期の頃の作品で、1869年にロバートフィリップスのために製作したペンダントです。
宝石をカボションカットすることも好んだジュリアーノ、ルビーをカボションカットしています。
カルロジュリアーノ

1874年にロンドン、ピカデリー地区に自身の店を出します。
顧客にはエドワード7世、プロイセン王女ヴィクトリア等がいました。

カステラーニは19世紀にヨーロッパで古代文明の発掘が盛んになったときに、古代のジュエリーの復元を試みます。
特に古代エトルリア時代の金細工(特に粒金細工)の復元に魂を注ぎました。
下記はヴィクトリアアルバート美術館所属、カステラーニ1860年頃製作の王冠です。
カステラーニ
(c) Victoria & Albert Museum, London

ジュリアーノも特にその初期の頃の作品は、古典的なカステラーニの作品に近い作風のジュエリーを製作しています。
下記はカルロジュリアーノが1865-1870年頃に製作したイヤリング、ヴィクトリアルバート美術館所蔵。
見事なグラニュレーションはエトルリアの金細工を模しています。
カルロジュリアーノ
(c) Victoria & Albert Museum, London

やがてジュリアーノは古代様式だけでなくルネサンスにインスピレーションの源泉を求めるようになり、エジプト文明にも影響を受けました。
宝石やエナメルを用いたより多色のジュエリーで、ジュリアーノ特有のスタイルを確立します。
下記は1867年のパリ万博に出品されたカルロジュリアーノ製作のペンダント。
やはりヴィクトリアアルバート美術館所蔵です。

カルロジュリアーノ
(c) Victoria & Albert Museum, London

下記は1870年頃に製作された真珠とガーネット、エナメルのネックレスです。
数年前にクリステイーズに出展されています。
ジュリアーノは高価な貴石より、ガーネットなどの宝石を珍しい方法で用いることを好みました。
このネックレスにも今回ご紹介するブレスレットにも見られるカボションカットのガーネットはジュリアーノが好んだ宝石の一つです。
カルロジュリアーノ

カルロ・ジュリアーノの刻印は「CG」で、初期の頃のカルロジュリアーノの刻印はこの二つの文字をモノグラムにしたものです。
これはカステラーニの工房の刻印の様式に従っています。
カステラーニのロンドンの代理人といった役割も果たしていたからです。
二人の息子の代になると「C&AG」になります。
カルロジュリアーノの死後は彼の二人の息子であるカルロ・ジョセフ・ジュリアーノ(Carlo Joseph Giuliano  1855-生没年不詳)&アーサーアルフォンス・ジュリアーノ(Arthur Alphonse 1855-1914)が跡を継ぎます。

こちらは二人の息子の時代に製作されたぺリドットのペンダントです。
ジュリアーノ
c.1900. Photo Courtesy of Wartski.

父親の独創的な才能を引き継いだのはアーサーの方だけでしばらくは二人で事業を続けますが、アーサーが1914年に自殺をしジュリアーノ一族の歴史は幕を閉じます。

アンティークジュエリーがお好きな方でしたら絶対にカステラーニやジュリアーノのことはご存知であろうと思っていたのですが、近年はあまりに日本に入ってこないためご存知ない方も多いようです。
手元に2004年に発行された別冊「太陽」の「永遠のアンティークジュエリー」という本がございます。
ここでは日本のいくつかの美術館やいくつかの店舗が持ってらっしゃったジュリアーノのジュエリーが紹介されています。
日本にまだ勢いがあったころですし、かつてはまだアンティークジュエリーも豊富にありましたからこうした良質なジュエリーが日本に持ち込まれていたのです。
近年ではジュリアーノのサインドピースは海外のマーケットでも、ササビーズやクリスティーズなどの一流オークションでしか見ることがなくなってきています。

例えば下記は1895年頃に製作されたこちらのブレスレットとほぼ同年代のC. and A. Giuliano(C&AG)のネックレスですが、 数年前のオークションの開始価格が既に131,140米ドル(当時のレートは分かりませんが2015年レートの換算で日本円にして約1570万円です。
開始価格ですので最終的な落札価格はずっと高騰したでしょうし(加えて20%ほどの手数料もかかります)、そもそも10年ほど前のオークションですので現在行えば更に高価になるのは間違いありません。

ジュリアーノ

余談ですがこのようなレベルの作家もののアンティークジュエリーになりますと、作家ものでない同時代の作品より(仮に同レベルの作品があったとしても)ずっと高価に取引されます。
しかしながらよくサインがなくても、「○○の作品」として紹介されて売られているものもあります。
確かに有名なジュエラーでもサインを入れなかったケースはありますので、必ずしも偽物と言うことはできません。
ただ覚えていておいて頂きたいのは仮にそのサインのないジュエリーが、本当にその作家が製作したものだったとしても、国際的なマーケットではサイン(刻印、コピーライト)の入っているものとサインの入っていないものの取引価格には大きな差が出ます。
実際に私も過去に「おそらくカステラーニのジュエリーだと思う」とジュエリーを紹介されたことがあります。
確かに作風としては似ていましたので同時代のそれなりのジュエラーが製作したジュエリーであることは間違いないですが、カステラーニの作品であるとは思えませんでした。
仮にサインの入っていないジュエリーをその作家のものだからという理由でご購入したいということでしたら、例えば第三者的なLAPADA(英国骨董協会)などでその真偽を確認したことを示すレターを入手した上で手に入れることをお薦めします。
いくら文献等でその類似性が示されていたとしても、その時代に著名であったジュエラーはの作品を真似て作られたジュエリーは存在します。

また偽のサインが付けられたフェイクのジュエリーもありえます。
特にカステラーニは同時代に、イギリスを中心にヨーロッパ各地で古典主義的な作風のジュエリーが多く作られましたから注意が必要です。
サイン部分は専門家が確認したほうが良いです。
ちなみにこのジュリアーノのサインはゴールドを掘り出すことで、簡単に偽造ができないようになっています。

ジュリアーノ

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