完売必須のクレオールアンティークピアス
これまで二度ほどご紹介してその都度すぐに完売した「クレオール(creole)」と呼ばれるタイプのアンティークピアスを久しぶりに入荷しました。
クレオールとは元来、「フランスの海外領土で生まれた白人」を指す言葉ですが、このような輪っ子タイプのピアスのことも指します。
フランスでは19世紀後期から20世紀初頭にかけて作られたデザインのピアスで、このピアスのようにデザインとしては比較的シンプルなものから、輪っ子部分がもっと幅広でそこにぎっしりと彫金が施されたタイプなど様々なクレオールピアスが存在します。
特にフランス南東部のサヴォワ地方で、彫金の施された独特のクレオールタイプのピアスが地方ジュエリーとして作られました。
(サヴォワ地方のものはよくお花が刻まれました。)
このクレオールピアスは比較的後年、1920年頃に製作されたものです。
前世紀までに製作されたもう少しボリュームのある牧歌的なクレオールとは異なり、ソフィストケートされたほっそりとしたクレオールピアスです。
ゴールドを、まるで柔らかい糸のようにあやつる職人技
モチーフ部分は、まるで糸や髪の毛などの柔らかい素材を編みんでいくように、ゴールドを少しずつ縒って捻ることで模様が作られています。
2ミリ弱の太さの棒状のゴールドは、内側に向かって凹むように彫り込まれていて、滑らかな曲線が流れる様はまるで小川のようです。
ルーペで見ますと、これだけ細い棒状の部分に滑らかな凹凸が付けられていることが分かります。
更にその少しずつ縒ったゴールドにところどころに、メッシュのように細く線のような彫りが入っています。
細く平面的でないピアスにこれだけ細かな彫りを入れるのは難しいことです。
それなのに非常に滑らかに入っていることに驚かされます。
光の拡散が一様ではなく表情が生まれて、着けたときも綺麗です。
ピアスを収納しようとして、重ねたときに二つのピアスを重ねて指輪のようにして着けることもできることに気づきました。
最後のお写真をご参照ください。
指のサイズ9号ですこし緩めですが良かったです。
モチーフ部分のゴールドの捻りは指輪としても綺麗で、華奢さが引き立つジュエリーです。
本来「ドルムーズ」と言って、耳たぶの後ろから針を通して前側でとめるピアスですが、デザイン上、前から通して後ろで留めることも可能です。
1910-1920年頃のフランス製。
18金ゴールド。
小さな写真をクリックすると大きな写真が切り替わります。
クレオールとは元来、アンティル、ギニア、レユニオン諸島など、本国ではなく中南米やカリブ海の植民地生まれの植民地生まれのヨーロッパ人のことを指します。
フランスでは、特にマルチニックやレユニオン諸島で生まれた白人のことを「クレオール」と言いました。
例えばナポレオン一世の妻であった、ジョゼフィーヌ皇后などは、マルチニックで生まれたクレオールです。
クレオールはやがてもっと広く、その習慣や言語も指すようになります。
そこから転じて、「混じり合って劣化した、濁った、不純な、どっちつかずの、固有性を欠いたもの」とした意味合いとともに用いられることもあり、クレオール性とは「文化的諸要素の混在」のことを言うこともあります。
80年代に、マルティニク島出身のグリッサン、コンフィアン、シャモワゾーらの運動により、文化的な意味でクレオールが注目を集めるようになりました。
ジュエリー用語で「クレオール」と言うと単純に下記のようなデザインのピアスを指します。
下記はもう少しフープの大きなクレオールピアス。
こちらも当店にて販売済み。
クレオール人が身につけていたようなリング状のイヤリング・ピアスです。
これらのクレオールピアスは、自然の恵み豊かな大らかな印象を与えるようで、フランスでは特に夏の避暑地、バカンスのときにつけるジュエリーとして今も変わらぬ人気を誇っています。
元々こうしたフランス海外圏で伝統的に作られたちょっと耳輪のようなデザインのピアスが、フランス本国にもたらされ、このような垢抜けたデザインのクレオールピアスが作られました。
アンティークエピソード集のページでは、様々なアンティークに関するエピソードをご覧いただけます。
アンティークリング、アンティークネックレス、アンティークピアス、アンティークブレスレット等、希少なヨーロッパのアンティークジュエリーを随時100点以上揃えています。
シェルシュミディで取り扱うアンティークジュエリーは、全てオーナーが直接フランス、イギリスを主としたヨーロッパで買い付けてきたものです。