アンティーク扇とは

18世紀は、ロココ文化の隆盛とともに華やかなサロン文化が生まれた時代です。
サロン文化を担う上流階級の女性たちは、目を見張る衣装や装身具をまとって、サロンの雰囲気を演出しました。
その装いの仕上げとして最も重要だったのが扇。
扇を手にすることは、当時の上流階級の女性のたしなみでした。
この時代、扇の生産地はフランスが中心でしたがオランダでも良質な扇が作られています。
これはもちろんハプルブルク家とブルボン家の繁栄によるものです。
特に象牙のアンティーク扇は、ヨーロッパではルイ16世の時代に開発されました。
この頃の象牙の扇はこの扇のように、骨が葉脈のようになるまで細く施されているのが特徴です。
これは18世紀にヨーロッパに渡り、話題になった中国の象牙の透かし彫り技術に触発されたものです。
西洋のアンティーク扇のほとんどは、18-20世紀初期にかけて作られたものがほとんどです。
扇の骨格の部分を「骨」と呼ぶのですが、この骨の材質は象牙が圧倒的に多いです。
次いでべっ甲、貝、木、金属、角になります。
ただし貝でできたものは、貝がそれほど強い材質ではないため、カケなどのないキレイに残っているものは、骨が木や金属でできたものに比べても圧倒的に少ないです。
また扇面の素材は紙、羊皮紙、レース、サテンなどでできたものがあります。
扇にはさまざまなタイプが存在します。
大きくは、薄板上の骨をリボンなどでつなげた「ブリゼ(Brise:折れたという意味のフランス語)式」、扇面を折りたたむ「プリッセ式(プリーツ式とも言います。
Plisse:飛騨の付いたという意味のフランス語)」、折りたたみ式で円形に開く「コカルド型(Cocardo)」に分けられます。
また珍しいものとしては、1750年頃、二厘馬車やその車輪型のガブリオレ型扇が流行しました。
このガブリオレ型の扇は、扇面が2枚3枚で構成されたとても珍しい形の扇です。 1860年頃はフランスで最も扇が栄えた時代で、製造過程は以下のような細かい分担作業で行われていました。
ざっくり説明すると以下のような過程に分かれていました。
1:扇面を画家が彩る。
2:研磨師が象牙や骨などを平らにする。
3:骨職人が骨の形を作る。
4:仕上げ職人が骨を磨く。
5:彫師が彫りを施す。
6:金箔師が金箔を施す。
7:台紙で部品をくっつける(ここからが女性の仕事とされていました)。
8:縁を作る。
9:糊付けを行う。
注:骨とは、扇用語で扇のベース部分のことを指します。
扇はサロン文化の中で、時には言葉の代わりに活用されました。
扇ことばはスペイン語が起源であろうとされていて、50通りの操作について描かれた本があります。
例えば右手で顔の前に持つ→「私についてきて」
左手でお顔の前に扇を持つ→「お近づきになりたい」
左耳にあてる→「あなたを追い払いたい」
左手でくるくる回す→「私たちは見られている」
18-19世紀のサロン文化を舞台にした映画などで、扇の出てくるシーンを見たりしてその意味を考えたりするのも面白いと思います。
19世紀フランスで最も有名であった扇職人店がメゾン・キース(Maison Kees)が挙げられます。
1805年に扇職人アーネスト・キース(Ernest Kees)が設立した工房です。
キースは19世紀の初めに11区で扇の初めての製造を開始。
特に石版刷り(リトグラフ)の扇で19世紀の社交界で大変な人気を得ます。
19世紀末の万国博覧会では2つの金メダルを獲得。
1894年にアーネストキースが亡くなったあと、後継者たちは彼の名前を商業上のブランドにします。
後継者たちはメゾンキースを、パリの裕福なエリア、グラン・ブルヴァールに選び、この工房の跡地には現在、フランスの唯一の扇工房、アトリエ・オゲ(Atelier Hoguet)があります。
今日フランスにおいても、扇を製作できる職人、工房は皆無になっています。
しかしただ一人だけ、フランス唯一の扇職人にアンヌ・オゲさんがいます。
オゲ家は19世紀から代々続く扇職人の一家で、アンヌさんの父のエルヴェ・オゲさんが60年代にキース社の跡地を買収して、アトリエ・オゲ(Atelier Hoguet)を設立。
アンヌオゲさんは現在、オペラや映画、オートクチュール、個人コレクター向けのみだけに扇の製作を続けています。
かのソフィアコッポラ監督の「マリーアントワネット」の映画で使われた扇も、アンヌ・オゲさんによるものです。

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謹賀新年2018 明けましておめでとうございます。
2018年が皆様にとって素晴らしい年になりますように。

今年また素敵なジュエリーをハンティングし、皆様にご紹介できるよう頑張ります!
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